2018.04.24

【第2回】ヴィッセル神戸 村上範和さんにインタビュー「通訳という仕事のやりがいやプレッシャー、今後の目標」│明治大学


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ヴィッセル神戸・村上範和さんにインタビュー【第1回】はこちら

通訳という仕事について

鈴木拓也さん(以下:鈴木) 通訳のオファーがある前から、通訳は第2のキャリアの選択肢としてありましたか?

村上範和さん(以下:村上) まったく無かったですね。海外に長くいたため、知人のアテンドをしたり、観光に連れて行ったりすることを頼まれる機会は多くありましたが、当たり前のようにやりすぎていたので、それを仕事にしようとも、なるとも思っていませんでした。そのため、すごく新鮮ですね。通訳って名乗るのがちょっと照れくさいくらいです(笑)。 もちろん、仕事としての責任はあって、個人の選手の通訳をさせてもらっているので、いろいろなことをアシストすることを常に考えています。

鈴木 そうなのですね。通訳のお仕事のやりがいを感じるのは、どんな瞬間ですか?

村上 ポドルスキ選手が活躍したり、喜んでくれたりすることです。彼が伝えたいことを私が代わりに伝えていますが、そこで返ってくるものが、彼が予想していた以上のもので、正当に評価されれば、とても喜んでくれます。その瞬間は本当に「ああ、良かったな」と思います。おそらく私は普通の通訳とも違うし、選手が活躍するための通訳というような意味合いがあると考えています。

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仕事に対するプレッシャー

鈴木 ポドルスキ選手と言えばスーパースタープレーヤーで、来日される時も、ファンが大盛り上がりだったと思いますが、そんなポドルスキ選手の通訳をする上で、プレッシャーに感じることはありますか?

村上 通訳という仕事には大きなプレッシャーを感じていて、当たり前のようにやっていたことを仕事にしなければならないけど、今までと同じようにやれば良い部分と、仕事として責任が強くなった部分があります。ポドルスキ選手だからというより、仕事としてのプレッシャーが強いのかなという印象ですね。

ポドルスキ選手が来るとなると、やっぱりファンの勢いがすごいんです。私がほとんどボディーガードみたいになってしまう時もあるし、そういう時には改めて「すごいな」と思います。彼の一言は重いし、彼はインスタグラムや、ツイッターをよく更新しますが、そのフォロワーもとんでもない数がいます。SNSに投稿する際、それを訳すこともありますが、そのプレッシャーも大きいですね。

鈴木 なるほど。

村上 サッカーに関するテレビや雑誌のインタビューでは、お互い選手として同じような考えを持っていると思っているので、その際のプレッシャーはそんなにはありません。

ポドルスキ選手はスーパースターだから、逆に私にもすごく気を遣ってくれていると思いますし、大変なプレッシャーもあるはずです。彼自身はすごくシンプルな人で、例えば「いつでもVIP扱いをしてくれ」という人ではなくて、「普通の人として扱ってほしい」というような人なんです。もちろん、人混みに出てしまうと、どうしても人は集まってきてしまうし、やむを得ずそういった扱いになってしまうこともあります。

先日来日した際も、大阪から東京まで移動する飛行機は「1時間くらいいいよ」とエコノミークラスに乗って、エコノミーの座席に1人だけ背の高い人がいる、というような状態になっていました(笑)。

鈴木 そうなのですね(笑)。

村上 そういう風に彼も気を遣ってくれているので、仕事はとてもやりやすいです。「だからスーパースターなのだな」と思います。

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通訳をする際、意識していることは?

鈴木 ポドルスキ選手の意図していることを、周囲の人に伝える際に意識していることはありますか?

村上 彼の生まれはポーランドで、2歳の時にドイツのケルンに移っています。たまたまですが、私も海外ではケルンにいた時間が一番長いんです。そのためそこの地域性みたいな部分が合っていて、細かな表現などもしっくりくるので、そのまま上手く伝えることができます。

また、話していて相手がピンと来ているかそうでないかというのも探りながら通訳をします。伝わっていなそうだったら私も少し質問してみて、それをまたポドルスキ選手に聞きます。彼はもともと質問者に対して「簡潔な質問にしてくれ。そうしないと自分の意図が伝わらないから」とよく言うので、私も意図が分かりづらい質問にはなるべく聞き返して、彼が意図していることと、向こうが意図していることが合うように意識しています。

鈴木 そうなのですね。村上さんが現役時代に最後に所属されていたヒラル・ベルクハイムのスタジアムは、ポドルスキ選手が作られたのですよね。すごい縁ですね。

村上 新しいチャレンジをしてみようと思ってヒラル・ベルクハイムに行きましたが、面白いですね。

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村上さんの夢や目標

鈴木 村上さんが今後思い描いている目標や、夢などがあれば教えてください。

村上 日本がワールドカップで優勝する日を夢見ているので、その力になれたらいいなと思います。優勝する瞬間を、近くで見たいです。例えば監督や、サッカー業界の人でもいいので、関わっていたい。何だったら、選手たちと一緒にいられるくらいの距離でいたいです。

あとは、海外にいる時間が選手ではない時間も含めると、18年間くらいになり、ちょうど私の人生で半分くらいの計算になります。その経験をもとに、いろいろな人に、グローバルな社会で闘えるように、世界は広いということを知ってもらうための手助けをしたいと思っています。インターネットや本にも情報は溢れていると思いますが、それを自分で体感してもらいたい。そして、それを誰かに伝えてほしい。

私自身もサッカーや、それ以外のいろいろなことを海外で経験してきた中で、「日本ってすごく良いな」と思う部分と、「世界から取り残されているな」という部分があって、どの国もそうですが、良いものを形を変えて取り入れていくと良いと思います。もちろん、伝統的な部分は守った方がそれぞれの風土に合っていると思いますが。

鈴木 それらの目標に向かって、毎日継続されている努力はありますか?

村上 一定の目標に向かって行っている努力というよりは、日本と海外の違いを見つけたり、常に人とコミュニケーションを取ったりしています。例えば、それぞれの年代の人たちの間ではやっていることや、気になっていることがあると思いますが、それは人が集まる場所に行って、その人たちと話してみないと分からないと思います。私に関係のないいろいろなコミュニティも含めて、飛び込んでみようと心掛けて、アンテナを張っています。 私自身、人のことが好きだと思うんです。すぐ騙されるんですけどね(笑)。

鈴木 (笑)。

村上 でも、それでもいいと思うくらい、能動的に飛び込んで話を聞いて、その中で自分の経験をすり合わせて、次の新しいものを見つけて、また人に伝えてという作業を日々繰り返しています。ルーティーン的な作業はありませんね。

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>>【第3回】ヴィッセル神戸・村上範和さんにインタビューはこちら



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