2019.12.10

政治経済学部・木寺元ゼミが「日本公共政策学会・公共政策フォーラム学生政策コンペ2019 in いわぬま」で最優秀賞を受賞しました


日本公共政策学会と宮城県岩沼市の共催による「日本公共政策学会・公共政策フォーラム学生政策コンペ2019 in いわぬま」が10月23、24日に岩沼市民会館(岩沼市)で行われ、政治経済学部・木寺元ゼミナールが最優秀賞の「日本公共政策学会長賞」を受賞しました。

今年のテーマは「地域資源を活用した観光と交流人口拡大による震災復興」。岩沼市では、平成23年3月11日に発生した東日本大震災によって、死者186名、行方不明者1名、家屋被害 5,428 戸(平成25年9月1日現在)という過去に例を見ない極めて甚大な被害を受けました。ハード面での復興は進むものの、市民の「心の復興」といったソフト面に関してはまだ時間がかかるものと判断されています。

今回は、観光を通じた「被災者の心の復興」を目指す岩沼市を舞台に東北から四国・九州まで全国の大学生が参加し、各チームが政策を提案し競い合いました。 

中村快、石井宏明、岩井萌絵、内倉由貴、浦隼太、岡部有希、谷山玲奈、橋本健吾、林田彩音、松田夕舞、山口真依 、吉川知志

政策提案内容

木寺ゼミナールが提案したのは、人と人を結ぶ「LOUNGE IWANUMA(以下、ラウンジ岩沼)」です。本プランは仙台国際空港(以下、仙台空港)のラウンジを、隣接する岩沼市全体に拡張し、空港利用者に「待ち時間でアクティブに楽しむ」という新たな過ごし方を提案するものです。

2016年7月、岩沼市内に位置する仙台国際空港(以下、仙台空港)が民営化され、2019年現在では、各航空会社が仙台~台北線の増便やデイリー運航を実施しています。これにより、宮城県へのインバウンド客は増加傾向にあります。その一方で、岩沼市への観光入込客数は仙台市のそれと比較すると圧倒的に少なくなっています。

そこで私たちは、221もの地域の声と複数回にわたるフィールド調査を通し、岩沼市の観光における課題を分析し、インバウンド客を呼び込むために地域住民・地域資源・観光の拠点という3つの手段を用いて、地域住民を巻き込んだ観光プランを提案しました。

テーマである「震災復興」に対しては、岩沼市ではハード面の復興が順調に進んでいることを踏まえ、「地域住民同士の結びつきを強め、心の復興につなげる」というアプローチを試みました。

岩沼市には神社仏閣等の既存資源と、震災後に作られた千年希望の丘やいわぬまひつじ村等の新たな地域資源があります。本プランではそれらを活用した新たなコンテンツを提案し、テーマ別に3つのエリアに分け、観光客にPRします。そこに、「いわぬマイレージ」という携帯アプリのポイントシステムを導入し、観光地として有機的に“結びます”。また、このシステムは観光客の行動データを集積するという機能を持っています。システムの導入により観光政策にビックデータを活用できるようになり、岩沼市の長期的な発展に寄与します。

また、岩沼市に住む方々が観光を通じて、住民同士の結びつきを感じてもらうために3つの手段を提案しました。「観光ワークショップ」「共遊体験」「いわぬマイレージ」です。これらにより岩沼市民は自身の可能な範囲で観光に関わることができるようになります。

本プランにより、岩沼市の観光地化を通して地域経済・地域コミュニティの活性化が、岩沼市を訪れる人と地域住民・地域住民同士を“結びつけ”、交流人口拡大につながります。岩沼市において生まれる、人と人の“結びつき”が、震災の記憶を紡いでいくことで、震災復興に寄与すると考えています。

代表学生コメント中村快さん(政治経済学部3年)
「岩沼市に関わるの方々が抱えている想いをすくい上げ、その背中を押すためにはどうすればいいか」私たちは何度も岩沼市へ足を運び、たくさんの岩沼市民の方々の声を集めました。それらを基に、何百時間にも及ぶ会議の中で作り上げた政策が「LOUNGE IWANUMA」です。私たちが本気で取り組んだ結果、日本公共政策学会会長賞という名誉ある賞を頂くことができたことを嬉しく思います。今回の政策立案で得た学びを次の取り組みに生かしながら、色々な地域をワクワクで盛り上げていきたいです。