2019.10.24

【農学研究科】中村孝博研究室「改良ナイフを用いた世界でも珍しい実験で、生物の体内時計を研究する」


明大生が、所属するゼミ・研究室を紹介する「ようこそ研究室へ」。今回は大学院農学研究科の杉山さんと宮﨑さんが、中村孝博研究室を紹介してくれます!
顕微鏡で組織を観察している様子

研究室概要紹介

地球上の生物は、地球の自転によってもたらされる約24時間の明暗周期の下で生きています。このような中、厳しい生存競争に勝ち抜くため、変化を前もって予測できる「体内時計」を進化させてきました。

私たち中村孝博研究室(動物生理学研究室)では、その中でも哺乳類の約1日のリズム(概日リズム)に焦点を当て、「生物が正確に1日のリズムを刻むメカニズム」についての研究を進めています。

中村孝博研究室(動物生理学研究室)ではこんなことを学んでいます!

研究室には三つの研究班があります。一つ目は「1日のリズムはどのように刻まれるのか」という根本的な原理の解明に挑んでいるクロノバイオロジー班。二つ目は、最小の副作用で最大の効果を得ることを目標とし、概日リズムの医療への応用を考えるクロノメディシン班。三つ目は、概日リズムを養殖や畜産に応用し、効率の良い飼育方法を考え、それによる生産の向上を目的としたクロノアグリカルチャー班です。

アピールポイント

ベラ・ハラスという、20世紀中盤ごろに活躍した神経内分泌学者の名前を冠した、ナイフを用いた実験を行います。このナイフは、ハラス氏が視床下部遠心路(視床下部から脳内のほかの部位へ伸びる神経)を切除するために考案したマイクロナイフです。

視床下部内にある、視交叉上核と呼ばれる小さな神経核からの遠心路を切除するため、ハラス氏が考案したマイクロナイフをマウス用に改良し、実験を行っています。この手法を用いた実験は世界でも珍しく、私たちがリードしてきました。

ハラスナイフ(Halasz knife)(写真左)

生命科学科に実験動物を扱う研究室はいくつかありますが、脳外科手術を施したり、マウスの輪回し行動や、脳波・体温など個体に表出する現象を観察したりと、個体レベルでの解析ができることが大きな特徴です。1時限目の寝坊による欠席や、徹夜がもたらす弊害など、大学生活における身近なリズムの重要性について知識を深められることも特徴の一つです。

研究室の雰囲気

コアタイムがなく、1人1テーマをもって研究を行うので、自由度の高い研究室です。週に2回のゼミナールでは、研究の進捗報告や論文の紹介などがメインで行われています。

論文紹介では、おのおのが読み理解した内容を、研究室メンバー全員と共有しディスカッションを行うことで、自分の研究テーマ以外にも幅広い知見を得ることができます。また、学生はもちろん先生とも距離が近く、どんなことでも気兼ねなく話せるフレンドリーな研究室です。

先生の紹介

中村孝博先生

若くエネルギッシュな先生です。時間生物学分野において、多岐にわたるコネクションを積極的に作ってきた先生なので、他大学や企業との共同研究、学会などで、親密な交流ができるのも先生のおかげです。

私はこんな理由で研究室を選びました!

杉山「体内時計」という研究テーマが、自分にとってイメージしやすく身近に感じたことが大きかったと思います。また、入室したてのころから、自分の研究テーマを持ち積極的に実験できることも魅力的でした。

宮﨑「体内時計」という身近で取り組みやすいテーマかつ、生命現象として実に面白い研究だと思ったからです。「夜に食べると太る」や「時差ぼけ」といった日常生活における時計的な疑問を、科学的な証拠をもって解明することができるところに心引かれました。

動物生理学研究室あれこれ

男女比・人数

男性6人:女性7人=13人

OB・OGの主な進路先

IT業界、製薬業界(MR)、食品業界、広告業界、教員、大学院進学(内部・外部)

研究室の秘密道具・グッズ

  • 人工的に昼夜の環境を作り出す飼育ケージ
  • ナマズ池
研究室の情報を紹介してくれた方杉山瑞輝さん・宮﨑翔太さん(大学院農学研究科博士前期課程1年)

(左から)宮﨑翔太さん、中村先生、杉山瑞輝さん

私の研究テーマ
杉山さん「雌性生殖機能における視交叉上核(SCN)特異的なGABAの役割」
宮﨑さん「視交叉上核隔離が脳内神経発火活動リズムに与える影響」
※ページの内容や掲載者のプロフィールなどは、記事公開当時のものです
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