【第2回】株式会社MATCHA 代表取締役社長 青木優さんにインタビューはこちら
どのような会社を作るか決めるまで
天野さん(以下:天野) 学生時代に起業しようと思ってから、実際に起業するまではどのような流れでしたか?
青木さん(以下:青木) インターンシップをしている時に会社を作ろうと思ったのは2010年の4月でしたが、実際に会社を作ったのは約4年後の2013年12月です。何でも良いから会社を作りたいというわけではなかったので、「これをやりたい」ということをずっと探していて、見つかるまでに4年かかりました。やりたいことを見つけるためにしたことは、インターンシップのあとに行った世界一周もその一つですし、そのあとには友人が作った会社を手伝ったりもしていました。
天野 やりたいことを4年間かけて探していたのですね。
青木 その間には、ブログもすごく頑張っていました。世界一周に行った後に、「世界一周どうだった?」、「荷物とかどうするの?」、「初めてバックパッカーしたいけどどうすれば良いのか分からない」などということをよく聞かれたので、それをまとめたら、毎月10万人~20万人くらいの人が見てくれる状態になりました。そのブログを見たことがきっかけで、海外旅行や世界一周に行ったという人が私の周りにすごく増えたのが良かったです。検索エンジンで「人生」と検索すると、そのブログが2番目くらいにヒットするようになって、人生相談がFacebookでたくさん来たりして面白かったですね。
天野 ブログでは、「人生でやりたい100のリスト」も作っていますよね。私はこの前、大学の授業で「人生でやりたい100のリスト」を作ることになって、青木さんのブログを拝見したら、すごく面白いことがたくさん書いてありました。
青木 月に1回くらい見直して付け加えていますが、あれをやったのは自分にとって良かったなと思います。いろいろな人に会ったり、自分がやりたいことをやったりしていって、興味の軸を見つけにいきました。日本や海外を回ったことで、日本のものをもっと世界に出していくことをやりたいなと思い、MATCHAを作りました。
青木さんから見た「成功する人」の定義とは
天野 実際に起業したときは、どうやって人を集めたのですか?
青木 一番初めは、私が面白そうだなと思う人たちに100人くらい会って、やりたい事業の内容を話して、手を挙げてくれた3人と一緒に始めました。コアメンバーを集めた後は、ブログで社員を募集したところ、約1カ月で200人ほどから「同じことをやりたいと思っていました」と連絡が来ました。その人たちと実際に会って話して、賛同してくれた20人くらいでスタートしました。今は社員は30人程度です。一緒にMATCHAを立ち上げた初期メンバーの3人はもう辞めていますが、全員が起業しています。一人はインドネシアでチーズケーキをお土産として販売していて、一人はメディアをやっていて、一人はオタク系の会社を経営しています。
天野 多くの人と会っている青木さんから見て、成功する人としない人の違いはどこにあると感じますか?
青木 余白がある人ですね。成功の定義というのも難しいですが、「これはやれる、ここはできません」とちゃんと言えるかどうかだと思います。ある程度社会的にも成功している人で、私が好きだと感じる人は、「余白がある人」が多いです。
天野 最初に会社を立ち上げられたときの3人にもそういうところがあったのでしょうか。
青木 全員そういうタイプかもしれないですね。ただ、もともとそうだったというよりは、経験的に習得するものでもあると思っています。
社会連携科目を担当した経緯
天野 学生時代に在籍されていた国際日本学部で、現在は社会連携科目を担当されていますが、担当されることになった経緯をお聞かせください。
青木 国際日本学部の山脇先生と連絡を取っているときに、お互いに「こういうこと(社会連携科目)ができたら良いね」という話になりました。後日、山脇先生が授業計画のたたき台を作っていて、そこに書き込むようにご案内いただきました。
天野 山脇先生が連携科目の画を描いてきて、それに色を付けたのですね。
青木 やってみようという気持ちはあったので、全部自分だけで話しても面白くないですし、会社のメンバーの中で尖っている人にも授業で話してもらうことをお願いしました。
天野 実際に授業をやってみて、お仕事に生かされたことはありましたか?
青木 国際日本学部の卒業生は面白い職業に就く方が多いですよね。正直まだ仕事に生きてはいないですが、数年後彼ら彼女らが卒業し、何か一緒に仕事ができる日があると思います。それはとても楽しみですね。
天野 この先何かつながりができるかもしれないという可能性を見出されているのですね。
今後の目標
天野 これからの目標をお聞かせください。
青木 「世界最大の訪日観光プラットフォームになる」というビジョンを、会社全体で掲げています。今のところそのビジョンに対して、達成度は10%くらいだと思っているので、それを実現していくことが目標です。日本のカルチャーを海外に発信したい人はこれからも増えていくと考えているので、そういった人ともっとつながらなければいけないと思っています。また、私は「後に残る会社」を作りたいと思っています。そのためのステップとして、数年中にはIPO(未上場企業の新規上場)をしたいと考えています。個人の目標としては、大きな器を作ることですね。自分一人では会社は成り立たないので、いろいろな人がのびのびと力を発揮できる環境を作って、日本中を巻き込んでいくことが目標です。
天野 会社のビジョンに対する達成度は10%くらいとのことですが、残りの90%を引き上げるためには、どのようなことが必要だと考えていますか?
青木 まずは日本全国の魅力的なコンテンツの拡充として、今あるニーズをしっかり満たすことが一つですね。今も取り上げている場所の情報をしっかり押さえることです。二つ目は、MATCHAだからこその面白い切り口のコンテンツを毎月生みだしていくことです。例えば、御岳山の滝行を特集するメディアは他にないと思っています。また、次は「人軸」のコンテンツを作りたいと思っています。例えば、村上春樹さんに取材をした上で「村上春樹さんが薦める新宿のバー」という特集をしたら、村上春樹さんが好きな人はすごく読んでみたい記事になると思います。そういった「人軸」の記事のような、ネット上に今まであまりないコンテンツを作っていきたいです。昨年リリースしたアプリ版MATCHAの機能にも、まだ足りないと思うことはたくさんあります。例えば、記事で掲載した観光地までのルート案内ができる機能や、今この瞬間にお勧めの場所が分かる機能、あとはMATCHAのアプリが入っていると街中でWi-Fiがそのまま接続できる機能などです。
天野 確かに訪日観光客からするとうれしい機能ですね。
青木 技術的課題や金銭面のことは置いておくと、例えば衛星からWi-Fiの電波を引っ張ってくることなども実現できないことではないと思っています。そういった、ディープで便利で、「お得」と思ってもらえる機能があると良いですよね。MATCHAのサービスがあることによって、金銭面としても機会としても、普通より少し得な体験ができたら良いなと思っています。そういったところをすべてしっかりできて、やっと50%くらいの達成度だと思います。残りの50%はまだ考えきれていないですね。
天野 その「余白」を埋めていくのも楽しみですね。
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