2019.03.18

【法学部】「医事法」で、医療と法律の在り方を多角的に検討する


各学部の特色ある授業や取り組みを紹介するコーナー「ガクブ探訪」。今回は、法学部の木村さんと柳ヶ瀬さんが、「医事法」を紹介してくれます!
「医事法」を紹介してくれた方柳ヶ瀬幸紀さん、木村直登さん(法学部4年)
(写真左から)柳ヶ瀬幸紀さん、木村直登さん

医事法

授業の概要・特色を教えてください。

医療と法に関することを学ぶ「医事法」は、単に法律だけに焦点を当てるのではなく、政策や歴史的背景などといった点も含め、医療と法律の在り方を多角的に検討する講義です。

春学期は在宅医療に関して、「超高齢化社会」やそれに伴う2025年問題が目前に迫る中、限られた医療資源を有効に活用しながら、主に寝たきりの患者をどのようにしてケアしていくべきかについて学びました。

秋学期には、安楽死や尊厳死にも考えをめぐらせながら、終末期医療に関する裁判例やガイドライン、他国の法制度などの評価できる点や課題点を踏まえ、死を目前としたときの自己決定をめぐる問題について学びました。

講義の様子

この講義を受講した理由は何ですか?

この医事法の講義を担当している小西知世先生は、私が所属している医事法ゼミの指導教員でもあります。ゼミでは判例を一つ一つ深く掘り下げて検討していますが、それに留まらずに幅広い視点、例えば政策や歴史的背景といった点などから「医事法」を俯瞰して学びたいと思い、この講座を受講しました。

それに加え、小西先生は優しそうな見た目とは裏腹に成績評価が厳しいといううわさも聞いていたので、チャレンジしてみたいという思いもありました(笑)。

講義中の小西先生

受講して良かったと思うことはありますか?

小西先生の医事法の講義では、さまざまな制度・法律を学ぶだけではなく、そのウラには何があるか、まで知ることが出来ます。

例えば、講義中、デカルトの有名な言葉「われ思う、故にわれあり。」について扱ったことがありました。その意味をざっくりと一言でまとめてしまえば「考えることができるヒトこそが人(=法律の対象)である」という考えです。明示されてはいないものの、現在の憲法はもちろん民法にも刑法にもこの考え方が根底にあるのだと分かりました。

ほかにも、その問題の根幹はどこにあるのか、ということを知る助けになる非常にアカデミックで知的好奇心を刺激される講義です。

講義の様子

授業で学んだことを、今後どのように生かしていきたいですか?

秋学期に扱った終末期医療では、それをめぐる制度や自己決定(権)、あるいはしばしば話題に上る安楽死・尊厳死についても扱いました。

いざ、自分の大切な人がそのような状況になったときに「制度が……」「尊厳を持った死を……」などと言っている余裕は(誰しもが)おそらくないでしょう。その点では、講義で学んだことを直接生かすことはできないと言わざるを得ません。

しかし、「われわれは、あるいは法は、死にゆく者・その家族・医療従事者に対して何をすることができるか」を考えることが、幸福な死を迎えることのできる環境づくりになると信じ、この大きな問題に向き合っていかなければならないのではないかと思います。

講義の様子

授業外での学び

「アカデミックフェス」に小西先生がコーディネーターとして登壇

医事法の講義では、教室で学ぶことの枠外をも学ぶ機会が与えられます。明治大学では、2018年11月23日に、明治大学の有する「知」を社会に発信するイベント「アカデミックフェス」が開催されました。そこで、小西先生がコーディネーターを務める「医療とAI―多角的な視点から―」と題したセッションも設けられました。

当日は、明治大学に所属する研究者からそもそもAIとはどのようなものなのか、AIが医療に介入することで生じる問題点にはどのようなものがあるかなどについて報告がありました。ほかにも医学教育の観点、地域医療の観点からの発言もあり、講義とはまた異なる視点で医事法を見ることができました。

アカデミックフェスの様子
※ページの内容や掲載者のプロフィールなどは、記事公開当時のものです