2021.07.27

【第2回】俳優 小日向星一さん・小日向春平さんにインタビュー「話していなくても共通した今後への思い」


小日向星一さん

【第1回】俳優 小日向星一さん・小日向春平さんにインタビューは こちら

話していなくても共通した今後への思い

――今後挑戦してみたい役はありますか?

星一 僕は見た目が少し幼く見られるので、今は温和な役や後輩の役を頂くことが多いです。今後は、その真逆の悪役をやってみたいと思っています。また、高校生の時の夢であったパイロットの役にもチャレンジしたいですね。

春平 僕も普段の自分とは遠い役に挑戦したいと思っています。今は新社会人のような若いからこそ任されるような役や、犯罪者役を任されることもありますが、知的な役にも挑戦してみたいです。普段の生活では使うことのないような専門用語を使って理論的に話をするような役が良いですね。

――俳優というお仕事の中で刺激を受けた方や尊敬している方はいらっしゃいますか?

星一 こまつ座の『イーハトーボの劇列車』という舞台作品で共演させていただいた松田龍平さんと山西惇さんが印象的でした。松田さんの舞台の立ち方にとても憧れますし、山西さんは、せりふで岩手県のJR遠野駅から上野駅までの駅名を毎回かまずに仰っていらして、本当に尊敬しました。

また、一度芝居でご一緒したことのある山寺宏一さんは、第一線で活躍されている方にも関わらず、誰よりも早くスタッフさんの名前を覚えるなど、芝居以外のことでも気配りをされていて、僕も見習いたいと思いました。

春平 僕は、TBSで放送されたドラマ『MIU404』でご一緒した綾野剛さんが、無名の僕に対して優しくしてくださったことが印象的でした。胸ぐらをつかまれるシーンでカットになった後、「ごめんね、大丈夫?」と、気に掛けてくださいました。

自分も俳優としての経験を重ねたら、今の自分のように緊張している若い俳優さんをリラックスさせてあげられるような優しい先輩になりたいと思っていて、その理想の先輩像が綾野さんです。

小日向春平さん

――ご家族でも演劇の話で盛り上がることはありますか?

星一 両親はお酒を飲みながら、 劇団での昔話をすることがあります。僕たちが演劇を始めてからは、 家族4人で演劇の話をすることも増えました。今でも第一線で活躍をしている父のことは俳優として尊敬していますが、やはり僕にとっては父であり「お父さん」という感じです。

春平 そうですね、家でもとても優しいですし。

星一 本当に怒られた記憶がないくらい優しい父ですが、芝居に関してはシビアな人だと感じることがあります。 67 歳になった今でも昔と変わらず睡眠時間を削って台本を読んだり、原稿のチェックをしたりしていて、僕もそういう風に仕事をしたいと思っています。

むしろ父のようになりたいというよりは、父を超えたいという思いがあります。僕たちは一生「小日向文世の息子」として見られますし、比べられることが多いと思いますので、時間はかかるかもしれませんが父を超えなければいけないと思っています。

春平 普段二人でこういうことを話さないので……。

星一 話さないよね(笑)。

春平 実は僕も友人と将来について話をしていた時に、同じことを言ったことがあるので驚きました。いつか「小日向文世の息子」ではなくて、「小日向文世が、小日向春平の父親」という風に認知をされたら面白いなと考えていたので、兄の話を聞いてとても共感しました。

>>【特集・第3回】では、「価値観が合う友人でありライバル」についてお聞きしています!(7月30日公開予定)

※ページの内容や掲載者のプロフィールなどは、季刊 広報誌『明治』第90号発行当時のものです
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