2021.07.21

【第1回】俳優 小日向星一さん・小日向春平さんにインタビュー「変化する俳優への意識」


こちらの記事は、「明治の“いま”がこの1冊に!」 季刊 広報誌『明治』第90号「卒業生探訪インタビュー」からの転載になります。

NHK大河ドラマ『青天を衝け』に兄弟役で出演している小日向星一さん、春平さん。 演劇一家に生まれたお二人は大学入学後に演劇サークルでお芝居を始め、兄弟として、またライバルとして切磋琢磨し、舞台に立ち続けています。今後さらなる活躍が期待されるお二人にお話を伺った卒業生探訪インタビュー、今号は「特別編」として幕が上がります。
プロフィール 俳優  小日向星一さん(右)、小日向春平さん(左)

  • 小日向星一さん(右) 1995年東京都生まれ。2018年明治大学政治経済学部卒業。主な出演作品に、TVドラマ『ケイジとケンジ』『浮世の画家』『セブンティウイザン』『青天を衝け』、映画『向こうの家』『星屑の町』、舞台『イーハトーボの劇列車』『染、色』など。
  • 小日向春平さん(左) 1998年東京都生まれ。明治大学情報コミュニケーション学部4年。明治大学付属明治高等学校・中学校出身。主な出演作品に、TVドラマ『MIU404』『青天を衝け』、映画『藝大の怪談~拳銃』など。
  • 劇団で出会ったという両親のもとに生まれる。兄弟ともに高校までは剣道に打ち込み、大学在学時から演劇に挑戦。明治大学シェイクスピアプロジェクトへの参加や、演劇サークルの活動などを通して俳優の道を志す。2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』に、兄弟役で出演するなど、今後の活躍に注目が集まる。父親は俳優の小日向文世さん。

変化する俳優への意識

――(聞き手・竹山まゆみさん〈広報誌『明治』編集委員〉)俳優を目指したきっかけを、お聞かせください。

星一さん(以下:星一) 中学、高校と6年間剣道を続けてきましたが、大学では何か新しいことを始めたいと考えていました。両親が劇団に所属していたということもあり、「実験劇場」という演劇サークルの新歓公演を見に行ったところ、公演の面白さに引かれてそのサークルに入りました。

大学に入学した時は将来的に俳優を目指すことは考えていませんでしたが、次第に演劇を続けたいという思いが強くなり、現在の事務所に入れていただきました。

春平さん(以下:春平) 僕も中高6年間剣道部で、大学に入学後は何をしようか悩んでいました。両親が演劇をやっていて、兄も演劇サークルに入ったことでできた、家の中の「春平もお芝居やるでしょ?」という雰囲気への反発心があり、「演劇を始めてたまるか」という気持ちが強く、入学してすぐには演劇サークルに入りませんでした。

いろいろなサークルに入りましたが、長く続かないうちに夏休みを迎えてしまい、観念して芝居を始めてみようと思いました。兄とは違う「演劇研究部」というサークルの演劇を見て、面白かったので入りました。そこからは兄と一緒で、将来のことを考えていく中で、どうしても芝居を続けたいと思い、今に至ります。

――現在は大学のサークルではなく、お仕事としてお芝居をされていますが、どのような違いがありますか?

星一 サークルでは、お客様からカンパを頂くことはありましたが、基本的にチケット代は0円でした。しかし、今はチケット代を頂き、わざわざ劇場に足を運んで見に来てくださるということを実感していて、仕事としてやっているという責任感が大きくなりました。

春平 僕もサークルは引退したので、現在はプロの方々と演劇をする機会が増えて、役者はもちろん、カメラや照明など、その道のプロフェッショナルの方たちが真剣につくり上げてくれた環境の中で芝居をするということに緊張を感じています。

――NHK大河ドラマに、お二人が兄弟役で出演されると決まった時はいかがでしたか?

星一 オーディションを受けた時にはそのような役はなかったので、まさか兄弟役で出演できるとは思っておらず、本当に驚きました。弟との初共演が初の大河ドラマ出演となったのは、ありがたいことだと思います。

僕が演じた松平容保という人物は、調べれば調べるほど忠義に熱い人物で、演じることが恐れ多いと感じていました。しかし、弟と一緒に現場に行くことで落ち着いて臨むことができ、全身で松平容保を表現できました。

春平 僕が演じた松平定敬は、容保に比べると歴史的にはあまり名前の知られていない方のようですが、だからこそ定敬に失礼にならないように、定敬本人が見たら誇らしいと思ってもらえるように、 誠心誠意演じることを心掛けました。

――大河ドラマの現場はいかがでしたか?

星一 セットが立派で、室内なのに屋外にいるようなセットもありました。スタッフも大勢いて、一流の方々と恵まれた環境で芝居をさせてもらっていると感じました。

春平 僕は学生という立場で役を頂けて、光栄なことだと思いました。また、現在コロナ禍でオンライン授業が増えていたことが、逆にチャンスになりました。オンライン授業はキャンパスに行かなくても授業を受けることができるので、仕事の合間に授業を受けたり、レポートを書いたりすることで学業と仕事を両立させることができました。

ただ、オンライン授業はとても便利ですが、やはり対面授業の方が良いと思います。教室で先生の生の声を聞くことや、友人と「授業大変だったね。この後ご飯どうする?」といった何気ない会話を交わすことも大学生活の一部なので、選ぶことができるなら僕は対面授業を受けたいです。

星一 公開されていない作品も含めると3〜4本の舞台がコロナ禍で中止になり、多くの方の生活が安定し、見に来てくださるお客様がいて初めて成り立つ仕事だということがわかりました。今こうして仕事を頂けること、多くの方に見ていただくことができるのは、とても幸せなことです。

>>【第2回】では、「話していなくても共通した今後への思い」についてお聞きしています!(7月27日公開予定)

※ページの内容や掲載者のプロフィールなどは、季刊 広報誌『明治』第90号発行当時のものです
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