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スペシャル・インタビュー
2022.04.22

【特集・第3回】東京2020オリンピック卓球混合ダブルス金メダリスト 水谷隼さんにインタビュー「刺激的な学生時代に多くの経験を」

めいじろうに卓球のアドバイスをいただきました

刺激的な時代に多くの経験を

――水谷選手は長く世界を舞台に活躍されていますが、当初は順風満帆というわけではなかったそうですね。

水谷 私がナショナルチームに加入した2000年代、日本は低迷期でした。初めて世界卓球団体戦に出場した時も、日本の順位は歴代ワーストタイ記録、私個人も全敗でチームに貢献することができませんでした。これが自分のスタート地点となり、以降は徐々に世界で戦えるようになりました。

私は2000年にドイツにして指導を受けましたが、その時に感じたのは日本の練習メニューは海外に比べて遅れているということでした。常に進化を続ける海外に対して、日本は強かった時の伝統を守ることにとらわれ過ぎていました。今は海外で活躍する選手が日本に練習メニューを取り入れていって、そこから世界を目指すということがスタンダードになったと思います。

――世界へ飛び出し、世界を知ることがとても重要ですね。

水谷 かなりカルチャーショックを受けましたね。私も世界を巡っていなかったら、日本だけの練習や戦術しか知ることができなかったと思うので、海外で得たことはすごく大きかったです。日本では何かと「あの人がこうだから自分もこうしなきゃいけない」というように周りに影響される人が多いと思うので、明大生の皆さんには周りに流されずにしっかり自分の芯を持って、自分が正しいと思う方向に向かって進んでほしいです。

――世界の卓球を体感した後、明治大学卓球部、そして日本の卓球のレベルを底上げするということを意識されましたか?

水谷 私は「みんなを引っ張っていかなければいけない」という気持ちを昔から持っていました。卓球だけでのし上がっていくという気持ちで練習していましたし、みんなに格好良いところを見せたいなというのは今でも変わらず考えて生活しています。みんなの憧れの的でいられるように日々練習をしていたので、それは卓球部のレベルアップにもつながったと思います。そういう選手が一人でもいることで周りの意識が変わってくると思いますし、身近にいると目標にもなりますよね。

――今後、卓球界でどのように活動をしていくビジョンをお持ちですか?

水谷 卓球が本当に好きなので、以前からいろいろな地域で開いている講習会を増やしていくなど、卓球の普及活動に力を入れていきたいと考えています。特に子供たちとの触れ合いを大切にしていきたいですね。オリンピックをご覧になった方々を中心に卓球の人気が高まっているので、子供たちに卓球のすごさを伝えることで、ぜひ競技を始めてほしいです。

――最後に、明治大学の在学生や新入生にメッセージをお願いします。

水谷 今でも明治大学を卒業して良かったなと思うのは、いろいろな場面で卓球関係者に関わらず、多くの先輩方から「応援しているよ」と声をかけていただく機会があることです。その度に改めて明治大学の結束の力を感じます。

僕はこの年になって、学生時代にもっと多くの経験をしておけば良かったなと後悔しています。今の若い子たちを見ていると「大学生いいなあ」と思います。それは、振り返った時に社会人になってからと比べると、大学生の時が一番刺激的な毎日だったと感じるからです。

家にこもって勉強するだけではなく、外に出ていろいろな活動をした方が、必ず将来役に立つと思います。また、さまざまな人と関わっていった方がいいですね。年齢を重ねれば重ねるほど、人と接する機会が減ってくるので、そういう意味で大学は多様な人たちと関われる一番のチャンスです。社会人になってからすごくプラスに働くと思うので、積極的にコミュニケーションをとってほしいですね。

――本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

プロフィール東京2020オリンピック卓球混合ダブルス金メダリスト 水谷隼さん(本学政治経済学部卒業)

  • 1989年静岡県生まれ。本学明治大学政治経済学部卒業。在学中は卓球部に所属。
  • 関東学生卓球リーグや全日本大学対抗卓球選手権大会での優勝に貢献し、4年次には同部のキャプテンを務めた。全日本卓球選手権では青森山田高等学校在学時から5連覇を果たすなど、10度の優勝を誇る。さまざまな世界大会で好成績を挙げ、東京2020オリンピック混合ダブルスで日本卓球史上初の金メダル、男子団体で銅メダルを獲得。オリンピック後、現役引退を表明した。2021年に紫綬褒章。2022年に明治大学特別功労賞を受賞。
※ページの内容や掲載者のプロフィールなどは、季刊 広報誌『明治』第93号発行当時のものです
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