2018.11.28

【座談会】「創立者のふるさと活動隊」の取り組みについて|明治大学


明大生の活躍を紹介するコーナー「明大生にフォーカス」。今回は、「創立者のふるさと活動隊」として3地域での活動に参加した3名の学生に、お話を聞きました。

「創立者のふるさと活動隊」とは

2010年に設置された社会連携機構のもとに置かれた地域連携推進センターでは、本学創立者出身地(鳥取県、同県鳥取市、山形県天童市、福井県鯖江市)と連携協力に関する協定を締結し、多様な連携事業を推進しています。その取り組みのひとつとして、2012年度からは創立者出身地への学生派遣プログラムを実施しています。このプログラムは、学生と地域の人々の交流・連携を通じて、創立者とその出身地について理解を深めることを目的としています。また、参加学生には、その地域を〝第2のふるさと〞と捉え、プログラム終了後も「創立者のふるさと活動隊」として、地域活性化の取り組みに参加することを推奨しています。
座談会参加者プロフィール

(写真左から順に)

  • 司会:竹本 田持副学長(社会連携担当)農学部教授
  • 郡山 琴美さん(政治経済学部地域行政学科4年)参加実績:2015年度鯖江市、2017年度鯖江市(学内サポート)
  • 宮本 寿樹さん(文学部文学科4年)参加実績:2016年度天童市、2017年度天童市
  • 櫻本 汐里さん(文学部史学地理学科2年)参加実績:2017年度鳥取、2018年度天童市

こちらの記事は、「明治の“いま”がこの1冊に!」 季刊 広報誌『明治』第80号「明治大学の教育」からの転載になります。

竹本 皆さんはこのプログラムにどうして参加しようと思ったのでしょうか。大学からは皆さんに対してOh-o!Meijiシステム(ポータルサイト)を通じてお知らせのメッセージを送っています。

郡山 私は配信されたお知らせを見て、大学生が自治体に対して何かを提案できる機会というのは、1・2年生の段階ではなかなかできないことだと感じたからです。公務員という進路も視野に入っていましたし、フィールドワークに挑戦してみたいと思って参加しました。

竹本 地域行政学科での学びにも通ずる、関心のあるテーマだったのですね。宮本さん、櫻本さんはいかがでしたか?

宮本 2年生の時、Oh-o!Meijiを通じてこのプログラムを知り、活動内容を見て、首都圏から離れた土地に行ってみたいと思ったので参加しました。

櫻本 私が参加したのは『創立者出身地への旅〜明治大学と鳥取を繋ぐ道』という鳥取県のプログラムです。このプログラムは東京から「青春18きっぷ」を使いながら創立者のひとり、岸本辰雄先生が上京した際のルートをたどるという内容でした。ひとりでは少し不安なので、誰かと一緒に行けるのならば楽しそうだなと思って参加しました。

竹本 遠くに行ってみたいという気持ちがきっかけになっていたのですね。さて、このプログラムは「創立者」の出身地をテーマにしています。参加する前の段階で、創立者への意識はありましたか?

櫻本郡山 ありませんでした。

宮本 大学にある石碑や胸像から、創立者が3人いるということを知っていただけでした。

竹本 現地での活動の前に大学で創立者のことを学んで、自分たちがその出身地に行くという目的を知った上でどう感じましたか?

郡山 大学の歴史や創立者について取り上げている授業があると聞いたことがありましたが、それ以外で創立者について知る機会がなかったので、新鮮だったことを覚えています。鯖江と天童と鳥取という離れた地域の出身の方が集まってつくった大学だと知って驚きました。

(写真左から)郡山さん、宮本さん、櫻本さん、竹本先生

竹本 ひとりの著名人ではなく、ある意味無名の若者たちがつくった学校というのは、庶民的だし、親しみがあるとも感じますよね。

櫻本 高校生の時から明治大学にあこがれがあったので、創立者のことを知ることができて良かったです。

宮本 最初はプログラムに参加する上で学ばなければいけない人たちだと考えていました。しかし、2回の参加を通じて、創立者たちの来歴に加え、大学の歴史全体にも興味を持つようになりました。

竹本 それでは、実際に参加してみて、それぞれのプログラムの中で印象に残っていることを教えてください。

郡山 私が参加したのは鯖江市で『移住・定住施策について(若者が住みたくなる・住み続けたくなるまちづくり)』を考えるプログラムでした。自治体の人と政策を考え、提案する過程で、鯖江市の地域の皆さんのつながりが土台にあることに気付きました。街ですれ違った人が、私たち学生にすぐ話しかけてくれるような環境で、それが鯖江の良さだと思いました。

宮本 私は活動を通じて『天童市の観光マップ』を作成しました。その時に、市役所の方や民間の事業者の方、街中で取材させていただいた方々からさまざまなお話を聞くことができて、天童市でどのような人が働き、生活しているのかを垣間見たことが一番印象に残っています。また、地図をつくるために天童市の中を何度も往来し、地元の方と交流を深めるうちに、天童市という場所をある程度、具体的に思い起こせるようになったことも印象に残っています。

竹本 地元の人と交流できたということが二人に共通していますね。

櫻本 私は長い距離を歩いたことが一番印象に残っています。屋根瓦に見たことのない模様がついていることだとか、車で通りすぎたのではわからないような、東京とは違う街の風景を覚えています。

竹本 創立者との接点はどうでしたか?地元で岸本辰雄先生の認知度調査を行って、県庁で発表もしましたね。

櫻本 県庁での発表の際には、たくさんの校友の方がいらして、話しかけてくださいました。皆さんが岸本先生のことを誇りに思っていることを感じました。

竹本 鳥取県の校友の方々にとっては、地元の人がつくった大学という自負があるのだと思います。天童はいかがでしたか?

宮本 宮城浩蔵先生の胸像が天童市立旧東村山郡役所資料館に立てられていて、その胸像が地元の方々によって丁寧に管理されているということを教えていただきました。また、明治大学の出身ではない方にも、宮城先生のことを誇りに感じている方がいらっしゃいました。大学と直接の関係がない方にも、同郷の人が創立したということが縁になり、大学に興味を持ってもらえることがあるのだと思いました。

郡山 私も鯖江の街の一角に矢代操先生の胸像が立っているということは聞いていましたが、本当にそのとおりだったので驚きました。大学と距離は離れているのに、胸像が立っていることは誇りに思いました。

竹本 地元の人たちとの交流についてもう少し聞かせてください。

郡山 鯖江市にはJK課という地元の女子高生が地域のお祭りのイベントなど、自治体の活動に積極的に関わっていくグループがあって、その高校生たちにインタビューをしました。ショッピングするには隣町まで行くとか、そういった会話を通して私自身が高校生だった時とは違う生活を知ることができました。自分の意見をしっかり持っている人が多くて、とても刺激を受けました。

宮本 天童市では、伝統的な将棋駒の職人の方や、家具産業に従事する方、農家で6次産業化を意識し、自分の農場のブランド商品を全国に販売している方などにもお会いできて、ひとつの地域にさまざまな人がいることを実感できました。

3地域の名産品。(左から)因州和紙(鳥取)、メガネフレーム(鯖江)、飾り駒(天童)

竹本 体験を通して、どんなことを感じましたか?

宮本 プログラムに参加してから、社会に対する見方が広がったと思っています。専攻がドイツ文学なので、活動隊の取り組みと接点が見つけ難かったのですが、逆に、領域が互いに離れていたのは良かったのだと思うようになりました。専攻に関連した西洋への関心だけでなく、天童市をはじめとする日本の地方都市や、プログラムの背景にある大学の歴史や経営などにも関心を持つようになり、視野が広がりました。

郡山 ただ単に明治大学生として過ごす4年間よりも、創立者とのつながりを身近に感じることができて貴重な体験だったと思います。鯖江やそこに暮らす人の魅力を知って、もっといろいろな地域のことを知ってみたいなと思いましたし、これから活かしていきたいと思います。

櫻本 地域活性化が最大の目標だと思っていたのですが、地元の方に話を聞いてみると、都会に比べて人が少なくて居心地がいいとか、今のままの鳥取がいいという声も聞こえてきました。地域活性化はみんながしたいことだと勝手に思い込んでいて、それを望んでいない人がいる時はどうしたら良いのだろうと、正直戸惑いを感じました。

竹本 そうしたお話は地元でなければ聞くことができませんね。それを聞いてどんなことを考えましたか?

櫻本 結局答えが出せなかったんです。外から見ているだけではなく、地域の人が内側で考えていることを聞いてからでないと、物を言ってはいけないなと思いました。

竹本 自分を大きく成長させてくれる体験になったようで良かったです。

櫻本 また今年も参加したいと思っています。

竹本 皆さんと話をして、この取り組みをさらに実りあるものにできればと感じました。一人でも多くの明大生に関心を持って参加してもらえるよう、私たちも知恵を出していきたいと思います。

※ページの内容や掲載者のプロフィールなどは、季刊 広報誌『明治』第80号発行当時のものです