
日本体操協会ナショナルチームコーチの佐藤寛朗氏(2012年法学部卒、体育会体操部出身)が12月16日、和泉キャンパスを訪れ、経営学部・藤江昌嗣教授による特別講座のゲスト講師を務めた。
佐藤氏は、本学卒業後オーストラリアに渡り、ブリスベンでコーチ学を学んだ。その後、2017年から2021年まで元日本代表・内村航平選手の専属コーチとして東京2020オリンピックへの出場などをサポート。パリ2024オリンピックでは日本代表ヘッドコーチとして男子体操団体の金メダル奪還に貢献した。
講義では「金メダル奪還への軌跡」をテーマに、コーチング論、データ分析の重要性、選手との信頼関係をベースとしたチームづくりといったマネジメントの事例が紹介され、有志で参加した他学部生を含む160人の学生が熱心に聞き入った。

佐藤氏は、強いチームをつくるためにはデータ分析と客観的なアドバイスが必要であることを説いた上で、「ただし、どれほど有益な情報でも信頼がなければ聞き入れてもらえない」と、何より重要なのは信頼関係の構築であることを説明した。
また、体育会体操部主将の嘉指博貴選手(政治経済学部3年)からの「技術面でのアドバイスを選手にする際に心がけたことは何でしょうか?」との質問には、「根拠を示して論理的に説明し、最終的には選手自身の判断に任せること」と答え、チームづくりには自主性を重んじる姿勢も重要であることを、実例を交えて説明した。

佐藤氏は、2025年4月から再びオーストラリアに渡り、オーストラリア体操代表コーチとして、ブリスベン2032オリンピックに向けて同国代表チームの強化を図る。明治大学を卒業後に体操指導者の道を志してオーストラリアに渡航した際は「自分を試す環境に身を置き、英語力やスポーツ科学の知識を身に付けて、世界で通用するコーチになりたかった」と言う。今回はその夢がかなったかたちとなる。
受講後の学生からは「佐藤氏の考え方は経営者にも必要とされる資質だと感じた」「このような方が明治大学の卒業生にいることは誇らしい」といった感想があった。