
政治経済学部・川嶋周一ゼミナール(国際関係史)は、1月11日、東京大学・本郷キャンパスで、東京大学法学部・板橋拓己ゼミナール、慶應義塾大学法学部・細谷雄一ゼミナール、同大学総合政策学部・鶴岡路人ゼミナール、法政大学法学部・宮下雄一郎ゼミナールと、4大学合同ゼミを実施した。本合同ゼミは、2017年度に実施した本学・川嶋ゼミと慶大・細谷ゼミの合同ゼミから始まり、その後、ヨーロッパ外交史を専攻していた大学院生時代からの知己である教員のゼミが集まって開催されているもの。
本年度は、4大学の五つのゼミから50人を超える学生・大学院生が集まった。川嶋ゼミからは、3年生だけでなく4月から本ゼミに入室予定の2年生も有志で参加した。
合同ゼミは、第一部として全体的なテーマ設定に基づく基調講演およびその内容に関する教員間でのパネルディスカッションと質疑応答、第二部として参加学生間でのグループディスカッションを行う、例年通りの二部構成で実施された。
第一部では、川嶋教授が自著『独仏関係史 三度の戦争からEUの中核へ』(中央公論新社、2024年)を基に、基調講演を行った。講演では、独仏関係を歴史的に通覧する意味や著書の概要紹介と共に、ウクライナ戦争以後において、ヨーロッパ国際関係や独仏関係がいかなる変容を遂げていくのかについての概括的な展望が示された。そして、これを受けての教員らによるパネルディスカッション、参加学生と川嶋教授との質疑応答が行われた。

第二部では、「ウクライナ戦争後の独仏関係が今後いかなる役割を果たしていくのか」をテーマに、学生間でのグループディスカッションが行われた。議論の結果、「独仏関係の重要性は歴史的に見れば相対的には低下しつつも、それでも他のアクターとの関係性においてはそれなりの重要性を発揮し続けるのではないか」という結論に至ったグループが多く見られた。
独仏関係は、ヨーロッパ国際関係を学ぶ上で外すことができない重要なテーマだが、同時に、ヨーロッパ全体の枠組みやドイツ外交、フランス外交について一定程度の知識が必要という意味では応用的なテーマである。この問題に触れたことのない学生にとっては、少々ハードルが高く感じるテーマだったと言えるが、川嶋ゼミから出席したゼミ生らは、他大学の学生と共にアカデミックな議論をこなしていた。
合同ゼミ後の懇親会では、学生らはリラックスした雰囲気で交流し、親睦を深めていた。川嶋ゼミのゼミ生からは、「非常に高いレベルの議論に接したことで大変刺激になった」との声が多数聞かれた。
川嶋ゼミでは、今後も他大学との学術的交流を行い、今に生きる質の高い国際関係分析がどのようなものなのかを、ゼミ生らが実感できる場の提供を行っていく。(政治経済学部事務室)
参加学生からの声
今回初めて合同ゼミに参加したが、参加している学生らの知識の豊富さや、新しい知見に対する貪欲な姿勢が、非常に良い刺激になった。中には、川嶋ゼミで学んでいる私たちより発展的な質問をしている他大学の学生もおり、正直悔しい思いも残った。彼らとディスカッションをする中で得た学びは多く、今後自分がしていくべき学習の指針が明確になった。(川嶋ゼミ3年)