
明治大学、株式会社三菱地所設計、株式会社サンポールは、丸の内仲通り(東京都千代田区)にて、2024年11月14日(木)~12月25日(水)に開催される「Marunouchi Street Park 2024 Winter」において「ボラードを活用した道路空間の積極的活用に関する社会実験」を実施します。
丸の内仲通りでは、自動車の時間帯通行規制により道路を歩行者に開放してオープンカフェとする「丸の内仲通りアーバンテラス」(※1)や、終日の交通規制により道路空間を広場・公園のように転換する「Marunouchi Street Park」(※2)などを通じ、街路の活用方法についての検証が継続的に行われてきました。
これまでの検証では、道路空間が都市の魅力度向上において重要な役割を果たすことが確認できた一方で、車両通行止めが実施されていても歩行者は歩道を通行する傾向が強いなど、歩車道の一体化や、そのさらなる有効活用が求められていることが明らかになっています。
こうしたニーズに際し、3者は、一般的に車道と歩道の境界を区分するために路上に設置される「ボラード」に新たな機能を加えることで、人々に車道と歩道の境を感じさせない、より一体的な道路空間を生み出すツールとすることを構想しています。道路空間の利活用ニーズが大きく変化している社会情勢の中、本社会実験を通して、多様なニーズに応える高度な道路空間の実現や、良好な道路景観の形成による都市生活の価値・魅力の向上とウォーカブルなまちづくりの推進に取り組んでいきます。
※1 「丸の内仲通りアーバンテラス」主催:特定非営利活動法人大丸有エリアマネジメント協会
※2 「Marunouchi Street Park」主催:Marunouchi Street Park 2024 実行委員会

産学3者それぞれのリソースから社会実験の方向性を検討

本社会実験は、丸の内仲通りの計画・設計に携わった三菱地所設計、地域住民や自治体と連携したプロジェクトへの参画を通してアーバンデザイン・プランニングの実践に取り組む明治大学理工学部 建築・アーバンデザイン研究室(佐々木宏幸教授)、ボラード・旗ポール等の製造販売を行うサンポールの産学連携による取り組みです。
社会実験の実施に当たっては、三菱地所設計がコーディネーターとなり、明治大学の活動から得られる知見とサンポールの技術を活用し、丸の内仲通りをフィールドとして、ワークショップを重ねて方向性を検討してきました。
歩道と車道を《分ける》ボラードから、歩道と車道を《つなぐ》ボラードへ
本社会実験では、主に歩道と車道を区分するために使われてきたボラードにカウンターテーブルの機能を付加することで、歩道と車道の境界に人が滞留・活動する空間を新たに創出し、ボラードを起点とした人々の活動や景観の変化を調査します。
実験結果は3者共同で多角的に検証し、「Marunouchi Street Park」との連携や、ボラードを介してつながる車歩道空間の常設化も視野に入れながら、都市生活の魅力度の向上やウォーカブルなまちづくりに寄与する道路空間の活用方法について、より高度な検討を実施していきます。
「ボラードを活用した道路空間の積極的活用に関する社会実験」概要
- 実施者:三菱地所設計、サンポール、明治大学理工学部 建築・アーバンデザイン研究室
- 場所:丸の内仲通り(東京都千代田区丸の内)
- 期間:2024年11月14日(木)~12月25日(水)「Marunouchi Street Park 2024 Winter」開催期間中
- 実施内容:既設ボラード14基にテーブルカウンターを付設。一般来街者の自由な利用の下、街路空間の使われ方を調査する。
明治大学理工学部 建築・アーバンデザイン研究室(佐々木宏幸 教授)
明治大学理工学部 建築・アーバンデザイン研究室では、都市のあるべき姿とその創造手法を研究するとともに、地域住民や自治体と連携したプロジェクトへの参画を通して、アーバンデザイン・プランニングの実践に取り組んでいます。
地元企業、地域住民の皆さんと協働し、さまざまな都市や地域における固有の課題について、これまで見過ごされてきた空間・物的資源をイベントやワークショップ、プロダクトデザインなどを含む多角的なアプローチによって活用し、その情報を発信することで、より良い社会の創造に貢献することを目指しています。
これらの成果を本実証実験に活用し、新たなまちの価値を創造していきます。
株式会社三菱地所設計
2002年に一部リニューアルが完了した丸の内仲通りの設計監理を行い、「Marunouchi Street Park」や「丸の内仲通りアーバンテラス」の実施に継続的に携わってきた三菱地所設計は、「+EMOTION」をブランドスローガンに掲げ、人を想い、街を想い、そこにさらなる価値を「+」する取り組みを続けています。
2024年、まちづくりにおける社会課題の解決を目指し、ノウハウと情報を集約し将来のソリューションビジネスを拡大すべく「ソーシャルデザイン室」を新設。アフターコロナで変わる価値観や生活様式、屋外空間におけるニーズの多様化、公共空間のさらなる有効活用に向けて、社会実験をはじめさまざまな手法を駆使し、産学・官民連携による多角的な取り組みを推進します。
株式会社サンポール
2020年に創立50周年を迎えたサンポールは、「外部空間を豊かにクリエイトする演出者」として街づくりに貢献し続けてきました。サンポールが製作納品した丸の内仲通りのボラードは、現在の仲通りの重要な景観を構成する1つの要素となっています。
ボラードはその目的から安全で安心な施設として、強度やメンテナンス性が重視されてきましたが、パークレットや歩行者利便増進道路(ほこみち)等のウォーカブルな道路空間の活用の機運の高まりから、より多様な機能・柔軟な活用が求められています。変容する社会において、ボラードの新たな機能を本実証実験を通して検証していきます。