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論壇
2026.10.01

知を育み、社会へつなぐ――明治大学の研究推進の現在|副学長(研究担当)・中別府修

本学は10学部、大学院12研究科、専門職大学院4研究科で教育・研究を展開しています。学部は教育・人材育成を担う一方、各分野の研究を創出・発展させる基礎的な研究組織でもあります。研究で得られた最新の知見を教育に還元し、学生が専門知識に加え、自ら課題を発見し考察する力を養う場です。大学院では教育と研究がより密接に融合し、学生自身が研究活動の担い手となって新たな知を創出しながら、研究者や高度専門職業人として成長します。「人を育てる」教育と「新しい知を生み出す」研究の循環が、本学の教育・研究力を形成しています。

学部・研究科を横断して研究を推進し、社会へつなぐ役割を担うのが研究・知財戦略機構です。世界的水準の研究の推進、重点領域の研究拠点形成、研究の国際化、成果の社会還元を一体的に進め、特別推進研究インスティテュート、研究クラスター、社会科学研究所、人文科学研究所、科学技術研究所などを通じて、特色ある研究や分野横断型研究を育成しています。

本学では、教員の基盤的研究費として特定個人研究費35万円を一律に措置するとともに、学術的・社会的に意義ある研究については、科研費などの公的競争的研究資金、民間財団の助成、企業などとの受託・共同研究による外部研究費の獲得を推進しています。その総額はコロナ禍以降増加を続け、2025年度には約16億8000万円となりました。研究力に対する社会の期待の高まりを示すものと考えています。

研究力向上に向けた環境整備も進めています。在外研究員制度と特別研究者制度を統合したサバティカル研究制度では、教員の活動実態に応じて研究期間や場所を柔軟に設定できるようにし、若手研究者への支援も充実させました。また、オープンサイエンス推進センターを設置し、研究成果や研究データの公開・共有、論文のオープンアクセス化への支援、学術成果リポジトリの充実を進めています。さらに、リサーチ・アドミニストレーション(URA)センターでは2人のURAが、研究費の獲得から研究の推進、成果発信まで研究者に伴走して支援しています。

AIの急速な進化は、研究の企画、実施、考察、論文作成まで、研究活動全体を大きく変えつつあります。正しく使えば研究を格段に効率化できる一方、研究倫理を欠けば「AIが行う研究」になりかねない危うさもあります。本学では、これまでのAI活用方針や全学的なAI教育に加え、AIに総合的に対応する体制やガイドラインの検討を進めています。

学生にとっては、AIによって既存の知識を容易に活用できる時代だからこそ、自ら問いを立て、考察し、新たな知を生み出す「研究」に取り組むことが一層重要になります。(理工学部教授)

明治大学広報第814号(2026年10月1日発行)掲載