駿風
2026.10.01
「駿風」2026年10月
ここ数年、信じ難いことが起きている。
線状降水帯という言葉は、いつから使われているのだろう。激しい雨の後、自動車が雨水に浮かんでいる光景は、現実のものとは思えなかった。
一度訪ねてみたいと思っていた国では、崩落した氷河が街をのみ込み、押し潰した。その映像も、にわかには現実の出来事と思えなかった。
ある国が別の国に武力侵攻した。また、一国の大統領が他国の軍事作戦で拘束され、国外へ移送される事態も起きた。
こうした出来事を前に、世界はどうなっているのかを知りたくてAIを立ち上げたが、すぐにシャットダウンした。
驚異的なスピードで進化しているAIは、蓄積された情報に基づいて、一定の整理や見方を示してくれる。だが、自分の目で情報を確かめ、自分の腑に落ちるまで自分の言葉で考えなければ、大切なことをひとごととして見過ごしてしまいそうだ。そして、今、世界各地で起きていることはひとごとではない。
「『個』を強くする大学」という明治大学の理念は、思っていた以上に重要なのかもしれない。
明治大学広報第814号(2026年10月1日発行)掲載
