第657回 明大スポーツ新聞部 ズームアップ
文/髙橋 未羽(政治経済学部3年) 写真/保坂 啓太郎(農学部3年)
今年で創部120周年を迎える硬式庭球部。節目の年に主将を務めるのは、堅実なプレーを持ち味とする松本洵だ。
石川県出身の松本は、中学時代の県大会でシングルス、ダブルスともに頂点に立つ単複優勝を成し遂げ、県内、そして北信越に名をはせた。そして、松商学園高校時代には、全国大会であるJOCジュニアオリンピックカップで10位、インターハイでも団体ベスト16と全国の舞台でも存在感を示す。
大学でも1年次からの活躍に期待がかかったが、不運にも右手首のケガに見舞われた。テニスをプレーすることはもちろん、ラケットを握ることもできない日々が続いたことから1年次はマネジャーとしてチームに在籍。右手首に二度の手術を受けた後、再びコートに戻るまでには1年の歳月を要した。
大学デビュー戦となったのは、2年次春の関東学生テニストーナメント。一次予選から勝ち上がり、自らの手で本戦への切符をつかんだ。本戦の舞台に立って「1年間ずっと悔しい思いをしてきた。今こうやってテニスができることが本当に幸せ」とプレーヤーとしてテニスに向き合う喜びをかみ締めた。
復帰後は、リーグ戦をはじめ、各大会で確かな爪痕を残した。迎えた大学ラストイヤーは、主将として挑む勝負の1年となる。松本が日頃からチームメートに呼びかけているのは“凡事徹底”。「競技外でも礼儀やあいさつなど、自分がやるべきことを徹底できるチームは強いし応援される。それが試合中の自信にもつながると思う」と、コート外での在り方にも気を配る。「明治の主将は強いということを全国に伝えたい。そしてずっと掲げている王座優勝を達成する」。負けられない夏はすぐそこだ。
(まつもと・しゅん 法学部4年 松商学園高校 177cm・58kg)
明治大学広報第798号(2025年6月1日発行)掲載