第658回 明大スポーツ新聞部 ズームアップ
文・写真/橘 里多(文学部3年)
ルーキーイヤーから抜てきを受け、いまや不動のセンターとなった榊原が3年目の春を終えた。
高校3年時は投手として活躍。最速145キロを武器にエースナンバーを背負い、二刀流としてプロからも注目された。「もっと高いレベルで、プロに行くような人と切磋琢磨したい」と明大の門をたたくと、1年春から7試合に出場しそのままレギュラーの座を手中に収める。
外野手に専念する現在も爆肩は健在。キャッチャーミットへ吸い込まれるまさに矢のようなバックホームで、球場のファンを魅了する。打撃では多彩なバットコントロールに近年はパワーも加わり、起爆剤も中軸もお手のもの。今季はチームトップの4本塁打、11打点を記録し、得点圏打率は.429と無類の勝負強さを誇っている。東京六大学春季リーグ戦の早大との優勝決定戦では、チャンスで適時二塁打を放ち、スタジアムを揺るがす歓声の中、二塁ベース上で高々とその拳を突き上げた。
高校時代の教訓「積小為大」を今も座右に置き、日頃の練習から真っすぐに取り組む。その姿勢には戸塚監督も「主力選手としての自覚を持って取り組んでいる」と太鼓判。試合中に身に着ける帽子のつばの裏には、大きく「愛」の一文字が刻まれているが、これは「帽子の裏を見た時、野球を愛することを思い出せるように」と先輩をまねて書いたそう。野球を愛し、野球に選ばれた榊原の物語はまだ序章に過ぎない。自らのバットで切り開く道はどこまでも果てしなく、輝ける。
(さかきばら・ななと 情報コミュニケーション学部3年 報徳学園高校 173cm・76kg)
明治大学広報第799号(2025年7月1日発行)掲載