第659回 明大スポーツ新聞部 ズームアップ
文・写真/堀口 心遥(政治経済学部3年)
3月に行われた関東地区大学選手権(関東)で6年ぶりに優勝し、2年連続で全日本大学選手権(全日本)出場を決めた準硬式野球部。昨年度、打線の中軸を担っていた主力が卒業した後、新チームの4番を務めているのが鈴木朝陽だ。
幼い頃に野球を始めた鈴木は、「中学時代は甲子園に行ける高校へ行くために野球をしていた」と語る。地元・愛知県の硬式クラブチームで鍛錬を積み、甲子園常連校・三重高校へ進学した。しかし、「1年生の秋から、練習試合ではメンバーに入っていても、公式戦では背番号をもらえない状態が続いていた」。2年生ではチームが甲子園に出場した一方で、自身はメンバー入りできず。「同級生が甲子園で活躍している姿を応援するのは、野球人生で一番悔しかった」と振り返る。
それでも、「その悔しさが頑張れた理由」と3年生の全国高校選手権三重県大会では打率.636の好成績でチームをけん引。悲願の甲子園出場を決めた。1回戦で敗れたものの「目標を口にして、達成できたのが初めてだった。甲子園の試合は楽しすぎた」と語る。
大学入学後は、2年次からスタメンに定着。その年にチームも躍進し、春季リーグ戦で2位、全日本ではベスト8進出を果たした。しかし「個人的には思うような結果ではなかった」。秋季リーグ最終戦では初のスタメン落ちを経験し、「本当に悔しかった。自分の中ではずっと打てていないイメージだった」ともどかしい1年を過ごした。
オフ期間には筋トレやマシンの打ち込みに励み、迎えた今シーズン。新チーム初の公式戦となった関東で大会打率.348を残しチームの優勝に貢献した。さらに春季リーグ戦では打率.324と結果を残し、目標に掲げていた「ベストナイン選出」を果たしてみせた。
チームが目指すのは昨年度ベスト8に終わった全日本で優勝すること。「去年はヒットを1本も打てなかった。(打線の)中軸を打たせてもらう中で、印象に残るプレーをしたい」。8月中旬に行われる全日本で真価を発揮できるか。
(すずき・あさひ 法学部3年 三重高校 170cm・70kg・右投左打)
明治大学広報第800号(2025年8月1日発行)掲載