第661回 明大スポーツ新聞部 ズームアップ
文/保坂 啓太郎(農学部3年) 写真/髙橋 未羽(政治経済学部3年)
体育会を裏から支え、チームの運営を円滑に進める大黒柱とも言える存在である主務。硬式庭球部でその主務を務めるのはスポーツ推薦ではなく一般入部の笠松創太だ。
初めてテニスラケットを握ったのは年少の時。「両親と一緒にテニスコートに行くことがよくあり、それが楽しかった」とテニスに魅了され、小学校に上がると同時に競技としてプレーするようになった。高校では1年時からスタメンとして試合に出場し、団体戦で県内3位に導く。しかし、進学校という中でチームメートとのモチベーションや熱量の差に戸惑う時期が続いた。「本気でテニスをしたいというよりは学業と両立という考えの人が多かった」。高校で思う存分テニスができなかった経験から、大学では体育会でテニスをしたいという思いが強くなった。
明大硬式庭球部には一般入部。「受験勉強で半年間テニスができていなかった上に、同期や先輩は全国トップレベルの選手で、1年目は練習についていくのがやっとだった」。さらに忙しい理工学部に所属しているため、文武ともに高いレベルを求められた。「毎日最低2時間、オフの日は学部の友達とキャンパスで集まって勉強することを決めて、それをやり通した」ことが文武両道の秘訣と話す。
コツコツと努力を続けられる力が認められると2年次から主務に抜擢。寮の管理運営やスポーツ推薦入学者のスカウト、地域貢献活動の責任者などを兼任し、裏からチームを支えてきた。また、学業面では希望していた研究室への配属を勝ち取り、有機太陽電池の研究にいそしんでいる。そんな笠松の両立生活は今年で幕を閉じる。しかし硬式庭球部が誇る二刀流の魂は後輩に受け継がれていくだろう。
(かさまつ・そうた 理工学部4年 宇都宮東高校 177cm・72kg)
明治大学広報第802号(2025年10月1日発行)掲載