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2024.11.13

スウェーデンのAI研究支援団体 WASPと先端研が合同ワークショップを開催(先端数理科学研究科)

数理・データサイエンス・AI

スウェーデンのAI分野における大学院生支援プログラム・WASP(Wallenberg AI, Autonomous Systems and Software Program)と先端数理科学研究科は10月7日、中野キャンパス・研究セミナー室3およびプレゼンスペースで合同ワークショップ「WASP-Meiji university joint Workshop 2024」を開催した。

このワークショップは、AIおよび関連分野について研究している大学院生等が、ポスターセッションを通じて最先端の研究成果を発表したり、学位論文について意見交換したりすることで、研究者のネットワークを広げることを目的として開催された。

WASPは、スウェーデン国内の博士課程の学生を対象に、大学の枠を越えて広く支援を行うAI技術や機械学習の先端的な研究機関。昨年度はカナダ、今年度は日本を訪問し、明治大学中野キャンパスをはじめ、筑波大学やAI技術の研究開発を行っている企業などを訪れた。

今回のワークショップには、スウェーデンの主要な7大学に所属する大学院生34人と、先端数理科学研究科の大学院生19人、MIMS(先端数理科学インスティテュート)の研究員や他大学・研究機関の研究者27人、その他引率教員などを含め、合計80人以上が参加した。

冒頭、先端数理科学研究科・荒川薫研究科長から歓迎のあいさつが行われ、今回のワークショップが、社会に貢献する数理科学の創造と展開を目的とする同研究科の趣旨にかなっているとした上で、新たな研究成果に結び付くことへの期待を寄せた。

続いて、国際日本学部・森川嘉一郎准教授による特別講演「Manga, anime, games and the city of Tokyo」が行われた。始めに、明治大学駿河台キャンパスがあるお茶の水エリアがいくつかのアニメーションの舞台になっていることを紹介し、聴衆の関心を誘った。その上で、日本が直面している少子化などの社会問題へと話を展開させ、これからの社会を築いていく若手研究者たちに問いを投げかけた。コンピューター科学を学ぶ研究者の多くは日本のアニメーションにも精通しており、コーヒーブレイクなどでの共通の話題となった。

ポスターセッションの様子

ポスターセッションは参加者61人が発表を行い、午前と午後の2部形式で、昼食会を挟みながら実施された。研究者同士で活発な質疑応答がなされ、熱気あふれるポスターセッションとなった。

研究テーマは、大規模言語モデル、連合学習、敵対的生成ネットワークや説明可能なAI(XAI)など、最先端のAI技術に関するものが最も多く、熱い議論が交わされた。その一方で、自然界における現象数理モデルや量子計算機の基礎原理など、基礎理論に関する研究発表も多くあり、分野内外の研究者間でしばしばレクチャーし合う様子が見られた。

さらに、AI技術を応用した自動運転技術や分散型ロボット制御、医療データからの部位検出技術、ガスタービン生成器における異常値検出技術、顔画像の匿名化技術といった応用研究の発表には、常時多くの聴衆が集まった。

WASPからの参加者の中には、世界的に著名な国内の自動車メーカーや半導体企業に勤務しながら産業界に直結した研究をしている社会人大学院生もおり、参加者にとっては世界的な研究ニーズを知る良い機会となった。

最後に、WASP・明治大学それぞれの担当教員による講評が行われ、ワークショップは盛況の内に幕を閉じた。WASPのプログラム責任者であるスウェーデン・ウメオ大学のビセンス・トラ教授は、「多くの最先端の研究事例が発表され、参加した双方の研究者にメリットがあった」と述べ、快適な議論の場が提供されたとして本学への謝意を寄せた。(中野教務事務室)

ウメオ大学のビセンス・トラ教授による講評の様子