
情報コミュニケーション学部・川島高峰ゼミナールは、7月2日~4日に新潟県津南町で地域課題の研修を実施した。この研修では、津南町役場の全面的な協力を得て、町政全般・農林産業・観光産業などのブリーフィングや視察、新規就農者宅への訪問等を行った。さまざまな地域課題に触れ、多くの学びを得た3日間となった。秋学期には報告書を作成し、津南町役場に提出する予定。
古民家の再活用
現在、全国的な課題となっている空き家問題への一つのアプローチとして、古民家の再活用がある。今回、ゼミ生の曽祖父母の代からの古民家を、実際に宿泊施設として活用した。学生からは「普段、都市部に暮らしている私たちにとって新鮮な体験だった。設備が整っていたので快適に宿泊できた。通常の宿泊施設と異なり、津南町に広がる田んぼや周辺に生息する生き物などを身近に感じることができ、貴重な機会となった」といった感想が聞かれた。

津南の大自然と農業
津南町は、巨大な河岸段丘や龍ヶ窪、清津峡など自然の複合的な要因によって長い歳月をかけてつくられた独特でダイナミックな景観と、森や渓谷によりつくられた静かで穏やかな空間が各所にある。それが古代からの地域文化の形成にどのような影響を与えたのかについて学んだ。また、近代における農地開拓や水資源確保のための大規模な開発によってできた大平原のような景観が、新たに観光資源としての価値を持つようになっていることを実感した。さらに、新規就農者宅を訪問し、生計や暮らしについてお話を伺った。

津南町と文化・地誌
津南町には、縄文時代の遺跡である沖ノ原遺跡があり、土器など多くの出土品がある。博物館では特別に縄文土器に触れることができた。縄文時代を主題とした文化研修施設は珍しく、貴重な学習型観光の資源となっている。また、津南町は世界最大規模の国際芸術祭として有名な「大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレ」の開催自治体の一つでもあり、地誌・紀行文化をインバウンドなどの観光価値に転換している。

津南町の財政
津南町のふるさと納税の返礼品は7割が米だが、米どころ新潟の近隣の自治体と比べると納税額はまだ少ない。貴重な自主財源でもあるため、さらなる拡大のための施策が必要である。また、町立病院や観光施設の拠点であるニュー・グリーンピア津南など、町の財政からの補填により維持されている施設がある。豊かな観光資源を持つ津南町の知名度を広げていくことが、これらの財政問題の対策となる。
