
平和教育登戸研究所資料館は、5月16日に累計来館者数10万人を達成した。
記念すべき10万人目となった来館者は本郷高等学校2年生の羽島由隆さん。この日は同校の生徒約290人が校外学習の一環で訪れていた。節目を祝うセレモニーでは、山田朗館長(文学部教授)から羽島さんへ、同館のオリジナルグッズと館長のサイン入り著書が記念品として贈られた。
同館は、生田キャンパス内の旧陸軍登戸研究所跡地に2010年3月に開館し、2025年3月に開館15周年を迎えた。戦時中に秘密戦の拠点であった陸軍登戸研究所の実態を伝えることで、平和教育・歴史教育・科学教育を学内外に発信している。
昨今では第78回毎日出版文化賞を受賞した小林エリカ氏の著書『女の子たち風船爆弾をつくる』で取り上げられたことで注目が高まり、関連企画展「風船爆弾作戦と本土決戦準備―女の子たちの戦争―」も大きな反響を呼んでいる。同展は会期が延長され、8月30日まで開催中。
この日に来館した生徒らからは「研究に関わった人々の気持ちを考えると胸が苦しくなった」「自分の知らなかった世界だが、現在のウクライナ戦争などともつながりを感じ、関心が深まった」「自分の人生について語れなかった人の思いを想像して心が痛んだ」「戦争は男性だけのものだと思っていたが、女の子たちが風船爆弾を作っていたと知って驚いた」といった感想が寄せられた。山田館長は、「今後も戦争と平和について、多角的に、そして分かりやすく伝えていきたい」と語り、節目の達成を受けあらためて意欲を示した。(平和教育登戸研究所資料館)
