第646回 明大スポーツ新聞部 ズームアップ
文/北原 慶也(政経2) 写真/菅波 陸哉(情コミ3)
明大拳法部は毎年数ある大会で優勝を収めてきた、いわゆる“絶対王者”である。昨年度も全日本学生選手権を制覇し、東日本大学選手権では現在8連覇中。そんな拳法部を支えるのは、高校で結果を残してきた拳士たちだけではない。現在3年生で、大学から拳法を始めた長倉直弥がレギュラー争いに名を挙げている。
拳法は相手の頭や胴に、突きや蹴りを決めることで一本を取る戦法が主流。しかし長倉は、相手を投げたり、足をかけて倒してから空打ちで一本を取る、組み技を武器にしている。その戦術を使う理由は中高生時代にあった。「柔道をやっていたので、それをうまく拳法に落とし込む練習をしている」。柔道は投げ技や足技が豊富なため、それを拳法に応用。「拳法の中にも投げ技があるので、なるべく相手の攻撃に付き合わないで、どう投げるかを考える」。相手が技を打ってきた直後の隙を見逃さず、技を繰り出しにかかる。
活躍が光ったのは東日本大学リーグ戦。決勝リーグ3試合中2試合で先発起用されると、2試合ともわずか30秒ほどで二本を先取。相手に一本すら取らせず、チームの連覇に貢献した。関根晋一監督も「組みで二本を取るのに30秒で終わっている。あいつはすごい。大きい体じゃなくて軽量級。見直した」と絶賛。着実な成長ぶりを結果で示した。
チームの目標は、昨年度成し遂げられなかったグランドスラム。「それが使命なのかなと思いながら練習している。本当にできると思う」。最強メイジの名にかけて、小柄な異風拳士、威風堂々。
(ながくら・まさや 営3 明大中野 168cm・65kg)
明治大学広報第787号(2024年7月1日発行)掲載