
明治大学では、複雑化が進む社会のニーズに対応することのできる、幅広い学問的視野や問題発見能力を備えた人材の育成を目的として、本年度より「副専攻プログラム」をスタートしました。
今回は、副専攻プログラムを履修する学生3人に、副専攻に挑戦したきっかけや学びの面白さ、自身の変化について語ってもらいました。
鈴木哲也教授(法学部)
左から荒井さん、剱持さん、海老根さん、鈴木先生荒井知輝さん 修了を目指す副専攻プログラム「ことばの科学」(文学部・情報コミュニケーション学部主催)
法学部3年生。法学を専門に学ぶ傍ら、高校時代から関心のあった言語学の学びにも挑戦している。
剱持咲彩さん 修了を目指す副専攻プログラム「社会におけるメディア・表象文化」(文学部主催)
商学部2年生。商学部に所属しつつ、世界の文化への関心をきっかけに、副専攻プログラムに挑戦している。
海老根司さん 修了を目指す副専攻プログラム「経営学の基礎」(経営学部主催)
文学部2年生。文学部で歴史学を専門に学びながら、現代の企業や組織の仕組みにも関心を広げている。
法学部・鈴木先生 ファシリテーター
法学部教授。学長室専門員として、副専攻プログラムの制度企画・運営に携わる。
副専攻にチャレンジした理由
――鈴木先生 急速に変化する社会のニーズに対応することのできる人材の育成を目指して、明治大学では本年度から副専攻プログラムがスタートしました。みなさんが、副専攻プログラムにチャレンジしてみようと思った理由を教えてください。
荒井さん 現在は「ことばの科学」の修了に向けて、履修を進めています。法学部での専門分野以外のことも幅広く学んでみたいと思ったことがきっかけです。あとは高校生の頃の授業での課題研究で、言語学をテーマにしていたこともあって、言語学に興味がありました。大学1年生の時に履修した「法と言語」という授業が面白かったということもあります。
剱持さん 2年生になり大学生活にも慣れてきたこともあって、何か新しいことにチャレンジしたいなと思っていたのですが、偶然、大学からの案内で副専攻のことを知り、まずはチャレンジしてみることにしました。副専攻では「社会におけるメディア・表象文化」の履修をしているのですが、もともと世界の文化等に関する映像を見たりするのが好きで、メディアという分野にすごく引かれました。
海老根さん 私は「経営学の基礎」を履修しています。史学地理学科なので、普段は200年前の社会システムがどのように動いていたのかといったことを学んでいるのですが、「経営学の基礎」のプログラムを知った際に、現代社会がどのような仕組みで動いているとか、そういったことに意識を向ける機会が少ないなということを感じました。将来、自分が所属する企業や組織の仕組みを知っておきたいと思い、履修を始めました。
――鈴木先生 皆さんが所属する学部の学びと、副専攻での学びの違いについても、お聞きしたいと思いますが、そもそも現在所属する学部を志望したのはなぜですか?
剱持さん マーケティングや商品企画などに興味を引かれ、高校生の頃から商学部に行きたいと思っていました。
海老根さん 幼い頃から歴史が好きだったのですが、特に世界史を学んでいくうちに、歴史は色々な分野との関わりがあるのだということに気がついて、そこがすごく面白いなと思いました。文学部では3つの学科があり、包括的な勉強ができる点に魅力を感じました。
荒井さん 高校生の頃、人権問題について学ぶ機会があったり、家族も人権問題や労働問題に関わる仕事をしていたりして、自分も権利とかについて学んでみたいと思い法学部を志望しました。
法学部・荒井さん副専攻の学びで感じたこと、得られた視点
――鈴木先生 実際に、副専攻の授業を受けてみていかがですか?
荒井さん 普段学んでいるのと全然違う分野の授業なので、正直すごく難しく感じる授業もあります。
海老根さん 難しい授業もありますが、面白いです。企業論という授業では、企業形態の変遷とか歴史的な要素も絡めた話もあり、企業から見る歴史といった感じで、新しい視点が得られました。
――鈴木先生 社会を見る視点として、歴史学では、過去の記録の中から再構築しようとするのだと思いますが、経営学部の授業では、今までとは別の視点から物事を見直すことになるのかもしれませんね。
海老根さん まさにそうだと思います。経営学部の授業では、当事者として「あなたが経営者ならどうするか」みたいなことを問われるのですが、普段専門にしている歴史学では、史料批判を通した客観性みたいなところをすごく重視するので、そういった視点がなくて、すごく面白いなと思いました。
――鈴木先生 我々が副専攻を通じて培ってほしいと思っていた、多角的な視点が得られたのではないかと思います。剱持さんはいかがですか?
剱持さん とにかく楽しいです。学部ごとに授業の色や学生の雰囲気も違うということを、身をもって感じました。副専攻で、他学部の授業を受けていなかったら、同じ大学にいるのに、他の学部が全然違うことをやっていることを知らないまま、卒業してしまうところでした。
――鈴木先生 私は、学生時代は文学部でしたが、理工学部の友人ができたときには、物事に対する考え方の違いをすごく感じました。自分とは異なる視点を持った人がいることを体感するのは、とても大事なことで、良い経験をしてくださっていると思います。
剱持さん 演劇史や美術史の授業を受けていて、それに関する映像を見る授業もあります。私はそういった映像を見るのも好きなので、授業自体とても楽しいし、今までよりも視野を広げることもできたと思います。
商学部・剱持さん荒井さん 副専攻で、意味論という授業を履修しています。言葉が何を意味しているのかをひたすら考えていくような分野なのですが、法学部で学んでいる法律も条文解釈という観点では、言葉と向き合うので親和性もあります。言葉の意味を突き詰めて考えた経験もなかったので、ひらすらそこに取り組んでいくのも面白いなと思っています。
――鈴木先生 荒井さんの場合には、そこがうまくマッチしている感じがしますね。法学においても言葉は非常に重要です。言葉に対するセンスを磨いておくことは、今後の大きな糧になると思います。
自学部との違いという観点では、それぞれの専門分野において、理解が難しい概念というものは存在すると思います。「これは難しいな」という経験をしないと、学問の特性が分からないということもあると思います。そういった経験を経て、普段、自分が専門分野で使っている言葉も相対化して見ることができるのではないでしょうか。皆さんの視野を広げるきっかけになるのではないかと思います。
鈴木哲也教授(法学部)副専攻の学びと将来のビジョン
――鈴木先生 副専攻を通じてこんな力が身に付いてきたというものはありますか?
海老根さん 今までとは異なる視点も得られましたし、具体的なことでは、財務諸表が読めるようになってきました。自分が分かる領域が増えてきたのは、嬉しかったです。
――鈴木先生 文学部の学びとは異なる部分での知識が身に付いているのですね。
剱持さん 商学部の学びには、それを使ってどうするかという視点があるように感じています。副専攻として学んでいる美術史や演劇史では、そこにおける表現や人の内面を問うことになるので、自学部の学びとは異なる観点を身に付けられてきたと思います。
――鈴木先生 みなさんは、副専攻の学びを今後の学生生活や将来にどのように生かしていきたいですか?
海老根さん 文学部での学びに加えて、実務的な視点も持ってリーダーシップを発揮し、周囲の人たちから頼られる人になりたいです。文学部の学びで得られる視点、経営学部の学びで得られる視点の両方の強みを持って、目の前の問題に取り組んでいけるとよいのかなと思います。
――鈴木先生 素晴らしいですね。所属学部での学びと副専攻での学びの双方を通じて、リーダーシップを発揮できるようになりそうですね。
剱持さん 副専攻の学びを通じて、自分の視野を広げることができたので、今後キャリアを選択するうえでの視野も広がっていきそうだと思います。
――鈴木先生 学ぶうえでの視野だけでなく、将来を考えるうえでの視野も広がっているのですね。
荒井さん 私は法曹を目指しているのですが、研究活動にも関心があり、どこかのタイミングで大学院にも進学したいと思っています。そういったこともあって、何かについて深く考える機会を得ることは、将来の大きな糧になると考えています。秋学期に履修を予定している副専攻の授業も法学と関わるので、副専攻の学びを続けていこうと思います。
――鈴木先生 副専攻プログラムのスタートに際して、学生のみなさんには、所属学部の学びで得られる力に加えて、もう一つの武器を身に付けてほしいと思っていました。3人は、そういったものを身に付け始めているのだと思います。
副専攻プログラムの履修を検討する学生へのメッセージ
――鈴木先生 周囲の学生にも副専攻を勧めたいと思いますか?
海老根さん 思います。副専攻プログラム自体がまだ十分に認知されていないので、一緒に学ぶことのできる仲間が欲しいなとは思いました。
文学部・海老根さん剱持さん 私も思います。修了に必要な単位数が定められているので、1・2年次のうちから計画的に履修できるとよいかなと思います。現在の副専攻プログラムの仕組みは、気軽に挑戦できる制度になっていると思うのですが、そのような自由さや気軽さも、副専攻に挑戦する後押しになったように思います。結果として、副専攻の修了に至らなかったとしても、他学部の授業を受けることは今後の糧になると思います。
――鈴木先生 より多くの学生に副専攻の面白さを伝えていかないといけないのだなと感じました。
皆さんから履修を検討する学生へのメッセージをお願いできますか。
海老根さん 修了証が得られることに魅力を感じて、副専攻にチャレンジしてみましたが、いざ一歩踏み出してみると、自分が知らなかった世界を知ることができて面白いんだなと思いました。副専攻をきっかけに何か新しいことを始めるのには、すごく意義があるし、是非チャレンジしてほしいと思います。
剱持さん これまでは個人で学ぶことが中心になっていたのですが、副専攻では、他学部の授業や学生から刺激を受けながら、新しい自分の強みを培うことができます。私のような人にもお勧めしたいです。
――鈴木先生 学部を越えて、広くさまざまな物事に触れることができるチャンスになりますね。
荒井さん 自分の専門が決まってきた中で、副専攻にチャレンジしていることは、とても刺激的で面白いです。改めて、自分が専門にしていることを他の視点から見ることもできますし、そういった視点を通じて、自身の専門を深めていくこともできると思います。3年次から始めても面白いのではないかと思います。勉強は大変ですが(笑)。
――鈴木先生 大変なことだからこそ、チャレンジしていて面白いのかもしれません。
本日はありがとうございました。とてもいろいろなお話を聞けてうれしかったです。

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