「スタディケーション」の概要について教えてください。
「スタディケーション」とは、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた「ワーケーション」の学生版で、学生が週末や長期休暇、休学を利用して、自分の好きな地域で興味のある分野について学ぶものと定義されています。私の場合は、「農業ビジネス」と「関係人口(※)論」の二つの観点から地域に入り込むため、休学してこれを磨くことに決めました。
※関係人口:小田切徳美農学部教授が、地方創生のために提唱している言葉で、移住はしなくとも地域に関わり続ける人々の総称。近年、若者を中心にこうした人々の数が増えている
なぜ「スタディケーション」を十勝から広めようと思ったのですか?
私は現在、北海道十勝地方で「スタディケーション」を広めるべく活動をしていますが、そのきっかけは、ワーケーションで関係人口づくりをする取り組みが十勝地方で盛んになっていることを知り、学生向けにも何かできるのではないだろうかと考えたところから始まりました。
十勝の「スタディケーション」を体験して印象に残ったこと、学んだことを教えてください。
実際に現地に入って印象的だったのは、農業生産者やワーケーションで十勝地方に訪れた方々が持つリアルな展望について知ることができたことです。
また、「国の農業政策」と「現地の人たちが持つ将来の地域像」に差があることに驚きました。政策としては一戸あたりの耕作面積を増やすことで生産量を上げるという考えがありますが、現地では農地面積が増えすぎて、設備投資によって採算が合わなくなることが問題となっています。後継者不足も相まって、将来的に地域全体で生産力が落ちることが懸念されていることが分かりました。
また、「省力化できる作物」と「労働集約的な作物」が存在する中で、現地では省力化を図るテクノロジーを開発するよりも、うまく労働集約できる仕組みの方が求められているということも分かりました。ワーケーションビジネスマンの方々は、都市圏の仕事をただ地方に持ってきて仕事をするだけではなく、現地の地域資源や人材と、持ちうる経営資源を組み合わせることで地方に事業を生み出し、ワーケーションを手段に地方に活力を生み出すことに挑戦されています。私はその挑戦に心を動かされ、地元で起きていることにより関心を示すようになりました。
活動をしていて楽しかったこと、大変だったことは何ですか?
現在の活動を通して、さまざまな方と専門的な話をするには知識が不足しており、常日頃からインプットを怠らないことが大変でしたが、それは楽しくもありました。また、挑戦してみたいことが増えたことで、今後の進路の方向性が固まってきました。
将来の夢やそれに向けて具体的に勉強していることも教えてください。
将来的に、十勝地方を拠点としながら、農業分野でさらに世界とつながるようなことに取り組みたいと思っています。具体的には、十勝地方をはじめとした北海道の農業を素材生産型のものから知的集約的な産業に変えることで、農業版シリコンバレーである「フードバレー」を実現できるのではないかと考えています。
10年前からこの動きが十勝地方では始まっており、私はこれを完成させるために、海外、特にオランダのヴァーヘニンゲンのフードバレーを研究し、どのように十勝地方に落とし込むことができるかを考え、実現に向けて活動していきたいと思っています。
明大生や受験生へのメッセージをお願いします!
これらのことは、明治大学農学部に入学して小田切先生の研究室に入室し、関係人口づくりや地域創生に関する活動をするきっかけを得たことで、体験することができました。小田切研究室で学んだ知識と、十勝での実践的な活動の経験は、私にとって貴重でかけがえのない重要なものであると考えています。
皆さんも私と一緒に、農業版シリコンバレー「フードバレー」をつくりませんか?仲間を募集中です!
※記事中に掲載した写真は撮影時のみマスクを外すなどの配慮をしております
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