「ラビィとナビィの大冒険」はどんなゲームですか?
フィールドの中を自由に移動できるアクションゲームです。主人公のうさぎ「ラビィ」とその友人の妖精「ナビィ」が、大魔王に隠されてしまった幸せの象徴「セイクリッド・キャロット」を取り返す冒険へ出発します!
「ラビィとナビィの大冒険」作品紹介(YouTube:Hidetyo's Apps チャンネル)
Nintendo Switchでゲームソフトが発売に至った経緯を教えてください。
この作品は2年間の制作を経て完成したものです。ゲーム制作は小学5年生から続けてきましたが、商品として発売されるのは今回が初めてです。高校3年次で「日本ゲーム大賞2020 U18部門」の金賞を受賞した作品に磨きをかけたものをパブリッシャー(制作会社)に持ち込み、発売に至りました。
小学5年生からゲーム制作ですか!?
正確には、当時はまだ自由帳に構想を描いている段階でした。図書室で偶然出会った『TVゲームをつくる‐ドラクエⅥができるまで』(ポプラ社、1995年)という本にのめりこんで、友人と自由帳にフローチャートを書いて遊んでいました。ただ、当時は「それをどうやって電子化するのか?」「そこからどうやってゲームという世界を作り上げていくのか?」がまだ分からなかったので、企画書止まりでした。
その後「RPGツクール」(プログラム技術がなくてもゲーム制作が楽しめるゲームソフト)や「Unity」(無料ダウンロードが可能なゲームエンジン)など徐々に制作の手段を得て、表現の可能性を広げてきました。
「ラビィとナビィの大冒険」の制作過程でこだわったポイントは?
「ゲームの世界への没入感」です。僕はテーマパークが好きなので、テーマパークのような没入感が楽しめるゲームを目指して制作しました。
Switchのコントローラーには「HD振動」という機能があって、精密な振動の表現が可能です。振動はゲームの画面以外の有効な表現の手段で、没入感を増してくれます。ただ実装するのが大変なので、振動を活用しないゲームも多いのですが、「ラビィとナビィの大冒険」では多用しています。SwitchのHD振動では細かく振幅を変えて「音階」まで表現できるので、ジャンプする時の「ビヨーン」という音まで、振動で再現しています。
ラビィとナビィの会話で工夫したところを教えてください。
子どもから大人まで楽しめるエンターテインメントではあるのですが、「ブラックユーモア」をふんだんに盛り込んであります。僕は常々、きれいな表現だけではつまらないと思っているので、ポップで親しみやすい世界観の中にも、そうした遊び心を盛り込みました。
「ラビィとナビィの大冒険」に込めた思いを教えてください。
実は、この作品は僕の自伝になっているんです。普通にプレイしただけでは分からないと思いますが、ストーリーの中に、僕のこれまでの人生でつらかったことや苦しかったことをコミカルに仕立てて織り込んであります。「自分が苦労してきたことを、みんなが笑って遊んでくれたらいいな!」という思いが、実は隠されています。お恥ずかしながら、どこかに僕の失恋ネタも隠されています。どこかは教えられませんが(笑)。
今回は商品として発売するという大きな目標を達成しましたが、それでもなお、「自分が好きなものをつくる」というスタンスは大事にしています。ありがたいことに、実況プレイ動画やTwitterで感想を述べてくださっている方もいらっしゃいます。大変参考になるご意見は次作にぜひ取り入れようと思う一方で、全てをそのまま取り入れようとは思っていません。
「まずは自分が楽しめる作品を目指し、それから人からどう楽しんでもらうか考える」そんな思いを大切にしながら、この作品を作りました。
今後どのような活動をしていきたいですか?
画面の中の体験だけではなく、「現実世界のモノ」を作ってみたいです。テーマパークのアトラクションのような体験を作り出せたら面白いだろうと思います。僕が所属している先端メディアサイエンス学科では、プログラミングだけでなく実際にモノを作って手を動かしながら学ぶことを大切にしています。
また、技術だけでなくコンピューターの黎明期からの歴史や芸術史などの講義もあり、コンテンツに関して総合的に学ぶことができます。そうした学びの中で、今よりさらに表現の手段を広げて、あっと驚くようなコンテンツを作れたらと思います。
先端メディアサイエンス学科の講義「EP演習」で「めいじろう」を模して制作した作品
「先端メディアサイエンス学科の講義『EP演習』で『めいじろう』を模して制作した作品」は、制作の過程を紹介している映像です。「モーションエディター」では、動作を制作・再生することができ、この映像上での動作もこちらで制作しています。ハードウェアは3DCGソフトBlenderで骨格を作成し、3Dプリンターで出力した後、外装やマイコンなどの部品を組み込んでいます。
最後に、明大生や受験生へのメッセージをお願いします。
これはゲームソフトの制作に限らないことですが、もし今なにか始めようと思っていることがあるなら、「明日から」ではなく「今日から」、もっと言えば「今すぐに」始めてみたらいいと思います。とりあえず手を動かしてみれば、知識は後からついてきます。もし途中で手を止めることがあっても、何もしていない期間にもふと思いつくことがあって進展することだってあります。とにかく「今」始めてみれば、結果は後からついてきます。
「ラビィとナビィの大冒険」も、最初は手探りで始めました。音楽だって、何の知識もないところから自分で作ってみたものです。初めはうまくいきませんでしたが、試行錯誤しているうちに何とかなりました。やるかどうか迷っている時間はもったいないです。ぜひ、やりたいことに挑戦してみてほしいです。
※記事中に掲載した写真は撮影時のみマスクを外すなどの配慮をしております
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