福井県鯖江市「北陸新幹線の福井県内開業するも駅のない市の考察(新幹線スルーのまち)」で「健康」をキーワードに市へ提案|村重温美さん
情報コミュニケーション学部学生社会連携イベントSDGs
明治大学地域連携推進センターは、協定に基づく連携事業として「学生派遣プログラム」を実施しています。「学生派遣プログラム(公募型/課外活動)」を通じ、連携地域が取り組むプロジェクトの推進や、地域振興に貢献しつつ、参加学生が地域への理解を深め、社会性を培う機会となることを目的に実施しています。
2024年度の学生派遣プログラムである「福井県鯖江市『北陸新幹線の福井県内開業するも駅のない市の考察(新幹線スルーのまち)』」に参加した、村重さんにお話を伺いました。
プログラムでの活動内容を教えてください。
私を含め8人の学生で、「北陸新幹線が福井県内開業するも駅のない市の考察(新幹線スルーのまち)」というテーマに取り組みました。事前学習や鯖江市での5日間の派遣活動などを経て、最終発表に臨みました。
北陸新幹線は今年、金沢~敦賀間が開業したことで東京~敦賀間が結ばれました。それに伴って特急電車が廃止されたため、新幹線が止まらない鯖江市の状況は大きく変わりました。新幹線の延伸に伴う環境変化や仕事への影響について、鉄道会社や観光協会の方などに協力を得てヒアリングを行いました。

プログラムへの応募理由を教えてください。
私自身が地方の出身のため、地方自治体と連携した地域活性化のプログラムに興味を持ちました。また、鯖江市は眼鏡産業で知られているため、工房の高度な技術に触れたり職人と関わったりする機会をつくることで、「産業観光」による地域創生にチャレンジできるかもしれないとも考えていました。
首都圏で生活をする大学生として、北陸新幹線の延伸は、福井県に行きやすくなったという明るいニュースとして捉えていましたが、現地では延伸に伴って課題が生じていました。駅の増減という変化は、地域住民の生活を大きく変え得る重要なテーマだからこそ、挑戦したいと思いました。

今回の鯖江市への提案内容を教えてください。
今回のテーマ「福井県鯖江市『北陸新幹線の福井県内開業するも駅のない市の考察(新幹線スルーのまち)』」で、私たちは「鯖江×健康」をキーワードに二つの提案をしました。
一つ目は、鯖江市で有名な「鯖江つつじマラソン」を改良した「たすきリレーコースの新設とご当地グルメを提供する」案です。鯖江市で認知度が高く、県外からの参加者も多いイベントを、もっと親しみやすいものにしたいと思い、考案しました。
二つ目は「スニーカービズのイベント」案です。「スニーカービズ」とは、福井県が、県民の歩行時間の確保を目的として、歩きやすい靴での通勤を推奨する取り組みです。市の既存のイベントが開催される時期や景色が良い時季に、ウォーキングを促す新たな取り組みを考えました。イベント期間だけの取り組みで終わらせず習慣化してもらえるように、SNSを利用したスニーカービズのコミュニティづくりも併せて提案しました。
今回の提案で意識したことは、「世代を問わず、普段は運動をしていない人も楽しんで取り組めること」です。鯖江市の充実した運動施設や、サイクリングをして気づいた景観の良さを生かし、運動に関連する提案を行いたいと思いました。そこで、鯖江市民の運動実施状況の調査や、過去に行われた市のイベント実績などを調べたところ、「運動をしたいと思っているが普段できていない人」が多いこと、また、市のイベントは参加対象者を世代で限定したものが多いことが分かりました。そのため、世代を問わず参加できて、運動することに対するハードルを下げられるような提案を目指しました。
活動の中で、印象に残った出来事や印象に残った言葉があれば教えてください。
特に印象に残っているのは、鯖江を盛り上げるために活動している「学生団体with」との座談会です。「学生団体with」は、学生のための「鯖江市地域活性化プランコンテスト(市長として鯖江の未来を創るコンテスト)」や、お寺で国際交流を楽しむイベント「交流寺」などを企画・運営しています。
高校生や高専生など、私たちより若いメンバーも多くおり、同世代の若者が真剣に市の将来を考え、取り組んでいる姿に刺激を受けました。鯖江市への愛と市民としての誇りがある学生たちとの交流を経たことで、私たちも鯖江市の未来のために一層真剣に取り組むことができました。
活動の中で苦労したことと、それをどのように乗り越えたかを教えてください。
大変だったのは「市民に還元できる提案」を考えることです。班での事前学習では、鯖江市に外から人を呼び込むことを念頭に、観光について提案することを考えていましたが、実際に市の方々にヒアリングをしたことで考えが変わりました。「市民主役のまちづくり」を掲げる鯖江市だからこそ、市民の生活や健康に根差すような提案をしたいと思い、方針転換をすることにしました。
限られた時間でしたが、現地の生活に根付くような提案をするためにも、鯖江市滞在中は、市民の憩いの場や市民の方が普段利用される運動施設、スーパーや和菓子店などを回ってたくさんのお話を伺いました。班のメンバーでそれぞれの得意分野を生かしながら作業を分担し、現地調査をやり切ることができました。

活動全体を通して学んだことや成長したこと、自身の中での変化を教えてください。
活動を通じて、「傾聴の重要性」と「言い出しやすい環境づくり」の大切さを学びました。これらは、ヒアリング調査でもグループワークでも重要なことでした。
今回の新幹線延伸と特急廃止による生活への影響は、人それぞれでした。その現状をよく知って効果的な提案を考えるためにも、よく話を聞き、深く掘り下げることが必要でした。
また雑談をしている中で、メンバーの1人が「鯖江に良いジムがあるから、班活動外で行く予定!」と話したことがきっかけで、今回行った「鯖江×健康」の提案が動き出しました。この時、自由に話せる環境があることがいかに重要かを実感しました。
今回のような少人数で行うプログラムにおいては、協力や連携が不可欠です。このプログラムを通して、それを実現するための土台となる雰囲気づくりの大切さに気付くことができ、大きく成長することができました。

この活動をどのような人に勧めたいですか。
まちづくりに興味があり、主体性を持って取り組める方にお勧めしたいです。鯖江市役所の方々の協力もあり、市を盛り上げようとさまざまなアプロ―チをしている方々に出会いました。新たな「地域」との関わり方を知る機会にもなると思います。また、班のメンバーには地方出身者が多くいましたが、首都圏出身者ならではの視点を持って取り組むこともできると思います。
将来の目標を教えてください。
自らの学びを、他者や地域に生かせる人になりたいです。今回のプログラムは、鯖江市役所の方々や市民の皆さま、明治大学の教職員の方々、メンバーのサポートがあって取り組むことができました。支えてくれた人がいたからこそできた学びを、自分の内だけにとどめることなく、私も支える側になりたいです。そのためにも、学びの機会を増やし、自分の知見を広げるチャンスを逃さないよう、大学生活を過ごしていきたいです。
明大生・高校生に伝えたいメッセージをお願いします。
文系・理系を越えていろいろな学部の学びを生かしながら提案を考える、面白いプログラムです。手厚いサポート体制の下で、学生主体で取り組める貴重な機会です。ぜひ挑戦してみてください!

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