2022.03.24

【明大生の課外活動を紹介!】「第63次南極地域観測隊の越冬隊に参加!」 遠藤哲歩さん


明大生の活躍を紹介するコーナー「明大生にフォーカス」。今回は、第63次南極地域観測隊の越冬隊員として、南極の昭和基地でオーロラや高層大気の観測をしている、理工学研究科の遠藤さんにお話を聞きました。
課外活動を紹介してくれた方遠藤哲歩さん(理工学研究科 物理学専攻 博士前期課程2年/国立極地研究所 宙空圏研究グループ)

「越冬隊」での活動の概要について教えてください。

越冬隊は昭和基地の維持管理を行う設営隊員と、昭和基地でしかできない研究を行う観測隊員の2つに大きく分けられます。私は観測隊員として、オーロラや地磁気および中層、高層大気といった宙空圏と呼ばれる分野の観測を担っています。

「越冬隊」の選出の背景となった「夜光雲」の研究(地球・惑星大気物理研究室)と、越冬隊での研究テーマの概要を教えてください。

私が明治大学で研究を行っていた「夜光雲(※)」は、中間圏界面付近の氷晶が作る地球で最も高い雲です。夜光雲を観測することはその高さの大気状態把握につながります。また、南極での観測の一つとして、レーダーによる大気の観測を行っています。これらは、場所や手法は異なるものの同じ地球大気を観測対象とした研究です。

※夜光雲:オーロラと同じくらいの高度で輝く超高層の雲です。従来は北極と南極の近辺で超高層大気が最も冷たくなる夏の期間だけ見られていましたが、近年、北海道などの都市でも見られるようになりました。地球環境変動の影響であると考えられ、鈴木秀彦研究室ではカメラをつけた気球を雲の上まで飛ばしたり日本発着の航空機につけたカメラで撮影したりするなどして観測・分析を行っています。

自室の様子➀

地球・惑星大気物理研究室での鈴木准教授の指導や、印象に残っているエピソードを教えてください。

私が明治大学に入学する前に、一度、鈴木先生の研究室を見学させていただいたことがあります。その際、研究を紹介していただくと同時に、南極の氷山から取った氷を私へ見せていただいたことをよく覚えています。その氷の中には、小さな気泡がたくさん入っており、大昔の南極の空気が閉じ込められている事を教えていただきました。

今回、昭和基地でその氷山氷を再び目にし、さらには口にできたことを私は非常に感慨深く感じています。

「越冬隊」に参加を決意したきっかけや思いを教えてください。

南極観測隊参加はかねてよりの目標であったため、機会に巡り会えた際に、参加を決意することに迷いはありませんでした。参加を後押ししてくださった鈴木先生や両親には深く感謝しています。

越冬隊での1日のスケジュールを教えてください。

越冬隊の生活にも平日と休日がありますが、以下では平日のおおまかな流れを紹介します。

遠藤さんの1日の流れ

07:00~08:00 起床・朝食
08:00~12:00 観測業務
12:00~13:00 昼食
13:00~18:00 観測業務
18:00~18:45 夕食
18:45~19:15 ミーティング
19:15~23:30 自由時間
ミーティング後の自由時間では各隊員が思い思いに過ごします。自室に戻りくつろぐこともあれば、バーやサロンで他の隊員と交流することもあります。
23:30 就寝
自室の様子➁

活動してよかったと思うことは何ですか?

南極の大自然を自分の身体で経験できたことです。「ペンギンやアザラシが目と鼻の先に来る」「南半球の星空を背景にオーロラを見る」「息をするのも大変な強風の中を進む」など、全て日本では経験したことのないものばかりです。

活動をしていて大変だったことや工夫したことはありますか?

越冬隊は、少ない人数かつ閉じた環境で生活を送らなければなりません。何らかの問題が発生した際には、隊総員で解決に臨む必要があります。これは大変なことでもありますが、人と助け合い生きていくことの大切さを改めて学ぶことができたと考えています。

越冬隊の活動中、あるいは活動終了後にチャレンジしたいこと、将来の夢がありましたら教えてください。

越冬隊活動を通じて得た経験を基に、自分自身の研究を論文にすることです。論文を出すには、まだまだ研究対象に対する知識が足りないため、先行研究や教科書を勉強する毎日です。

明大生・受験生へのメッセージをお願いします!

この記事を読んで南極について少しでも興味をもってくれたら、うれしいです。そして、地球・惑星大気物理研究室を目指してくれる方が一人でも増えればもっとうれしいです!

写真提供・取材協力/国立極地研究所

※ページの内容や掲載者のプロフィールなどは、記事公開当時のものです
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