

バラエティー番組のような国語の授業を
なぜ先生になりたいと思ったのですか。
きっかけは、小学校時代にクラスの友人よりも背がとても高かったことに悩んでいた私を救ってくれた恩師に出会ったことです。
その後もたくさんの恩師と出会い、この思いが確固たるものとなりました。特に、中学校・高校時代に一度企業に就職してから先生になった方々に強く影響を受けました。「こんなにつらいことがあった」「このような経験をしたことで成長できた」といったご自身の社会経験を伺ううちに、「私自身は将来どんな大人になりたいだろう」と考えるようになりました。
私は、「先生」は生徒にとって家族や友人とはまた異なる「特別な存在」であると考えています。学生時代という限られた時間を預かる者として、将来生徒が学生時代を振り返った時に「心の底から楽しかった。先生に出会えて良かった」と思ってもらえる先生になりたいです。
なぜ一度テレビ番組の制作会社に就職するのですか。
私は、文学部の齋藤孝先生の授業を教職課程で履修しています。「アイデアを振り絞って面白い授業をしよう」というのが、齋藤先生の教えです。
私は4年次の教育実習で、この教えを実行しました。私の担当科目は国語なのですが、漢文の「まさにせんとす」「いまだせず」といった覚えづらい言葉をアニメーション「タッチ」の主題歌の替え歌にして、クラスのみんなで歌いました。その他にも替え歌を駆使した授業を行いましたが、生徒たちが授業外でもその替え歌を覚えて歌ってくれるほど好評だったので、「やって良かった」と手応えを感じました。
私が就職するテレビ番組の制作会社は、主にバラエティー番組を制作しています。遠回りと思われるかもしれませんが、私はそこでたくさんの面白いことを吸収して、自分自身が面白い人間になりたいと考えています。そして将来、「世界一」面白い授業をする先生になることが、私のキャリアプランです。

子どもにとって、先生は「窓」
どのような先生になりたいと思っていますか。
子どもたちの世界を広げることができる先生です。私は、子どもたちがこの世界を、先生という「窓」を通して見ていると考えています。先生の言葉や授業が子どもたちの知識となり、世界を見る目を育てていると考えているからです。私自身が幅広い経験を積み、大きな窓となることで、子どもたちの世界を広いものにしたいです。
ベトナムの孤児院で学んだこと~世界一の先生に~
ご自身の視野が広がった経験を教えてください。
高校時代から視野を広げるために留学を希望していましたが、コロナ禍でなかなか実現できませんでした。4年次の8月に機会を得てイギリスに短期留学した際に、海外での日本語教育の需要が意外にあることを知りました。国語の先生を目指している私は、海外で日本語について教えることに興味が湧きました。

その後、日本語教育の需要は欧州より東南アジアの方がさらに高いのではと思い、9月に文学部がベトナムで実施している海外研修に参加しました。研修では、ホーチミン市経済金融大学の日本語学科の学生との共同調査や現地日本語学校の訪問など、現地の方々とのさまざまな交流がありました。

一番印象に残っていることは、孤児院の子どもたちとの交流です。子どもたちに日本とベトナムとの価値観の違いについて調査するためのインタビューを行った中で、私は子どもたちに将来の夢を聞きました。その時子どもたちが楽しそうに「宇宙人」や「すごい人」と自由に答える姿を見て、自分が抱えていた将来への不安や悩みがちっぽけなものに感じ、自分の気持ちに正直でいることの大切さを改めて教わったように感じました。

私は、周囲からよく「先生になるのになぜテレビ番組に就職するのか」「遠回りではないか」と聞かれ不安を感じることもありましたが、この時に、自信を持って、「自分だけのキャリアを歩んで行こう」と思いが強くなりました。
研修の最終日で、私は自身のキャリアプランについて発表しました。それは、「世界一の先生になる」ということです。少し大きく聞こえてしまうかもしれませんが、ベトナムの学生たちとそれぞれの価値観や夢を話し合う中で視野が広がり、このようなイメージを持つようになりました。今後、幅広い経験を積み、さまざまなことに臆せず挑戦し続けることで、この夢をかなえたいと思っています。

価値観は変わるもの
高校生へのメッセージをお願いします。
選択肢を広く持つことを大切にしてほしいです。私は、高校生の段階では、まだまだ将来像を確立させる必要はないと思います。この先に出会う人や経験によって、考えが180度変わることだってあります。だからこそ、その時に柔軟な対応ができるように、迷った時は常に選択肢の広い方を選ぶことをお勧めします!大学は、皆さんが思っているより、何倍も何倍も楽しいですよ!
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