
人間と共生するロボットを作ることを目標に、理工学部機械工学科で学ぶ木村莉之明さん。プログラミングの面白さや技術者としてのコミュニケーションの大切さなど、日々たくさんのことを吸収しながら一歩ずつ前進する木村さんに、目標が明確になるまでの経緯や価値観、大学生活での学びについて伺いました。
木村さんのMeijingは、「調和させる」を意味する”Harmoniz“ ing
SFの世界に憧れ、機械に興味を持つように
理工学部の機械工学科に入学した理由を教えてください。
僕は子どもの頃からものづくりや機械に興味がありました。きっかけは、両親の影響で『スター・ウォーズ』を好きになったことです。SFの世界に憧れ、特にロボットが人と一緒に暮らしている光景に心引かれました。そしていつか人間の生活に溶け込むようなロボットを作りたいと思うようになり、そのために必要な技術や知識を学ぼうと思い、機械工学科に進学しました。
中でも明治大学を選んだ理由の一つは、理工学部の「混合クラス」に魅力を感じたからです。語学など専門分野以外の授業を他学科の学生と受けられるという他の大学にはあまりない仕組みで、他学科の学生と交流することで、自分の視野も広げられるのではと感じました。

実際、入学してから混合クラスでたくさんの友人ができました。普段よく一緒にいるのも他学科の友人たちで、何気ない会話から視点の違いを感じます。例えば、僕がただ「おしゃれだな」と思っただけの建物に対して、建築学科の友人は「ここの構造が良いんだよ」と教えてくれたりします。授業での学びを共有することも多く、自分の知らない世界に日々触れることができています。
ものづくりの世界は、一人の技術力だけで完結するものではない
機械工学科での学びを教えてください。
1年次に「C言語」というプログラミングを学ぶ授業がありました。高校時代に簡単なプログラミングの経験はありましたが、一文字ずつアルファベットや記号を打ち込んでコードを作るのは初めてだったので、最初は文字の羅列が呪文にしか見えず、さっぱり意味がわかりませんでした。
面白さに気付いたのは、授業の中で「HELLO」という文字を打ち込むためのプログラミングをした時です。自分でコードを作り、「実行」を押すと「HELLO」という文字が画面上に打ち込まれ、それを見た瞬間「これはすごい!」と思いました。これはまだ基礎中の基礎のプログラミングで、「HELLO」と手入力した方が速いのですが、この時は自分で作ったプログラムを思い通りに動かせたことがあまりにうれしくて、両親にも自慢しました。
この時の喜びが忘れられず、今では自主的にプログラミングの勉強をするようになり、C言語の資格取得を目指しています。
これまでの授業を通して得た気付きはありますか?
大学入学前は、自分に高い技術力さえあればロボットは作れると考えていました。しかし、さまざまな授業を通して、僕が目指すものづくりの世界は、一人の技術力だけで完結するものではなく、チームを編成して企業や研修者らとコミュニケーションを取りながら何年もかけて臨むものなのだと気付きました。
どのような授業を通して、チームワークやコミュニケーションの大切さに気付いたのでしょうか。
特に印象的だったのが1年次の「基礎機械工学2」の授業で、飛行機を作る課題に4人グループで取り組んだことです。飛行機の材料は紙と割り箸だけで数も限られていたので、2回ほどしか作れない状況の中、どのチームが最も飛行機を遠くまで飛ばせるかを競いました。
作り直しができないためグループで話し合いながら慎重に作りましたが、1回目の飛行機は全く飛びませんでした。しかし、失敗の原因を皆で考え、翼を大きくしたり、角度を付けたりして試行錯誤しながら作り直した結果、2回目は1回目よりずっと遠くに飛ばすことができました。これは僕一人ではできなかったことで、皆が出したアイデアを組み合わせてより良いアイデアを生み出せたからこそ、良い結果につながったのだと思います。皆で試行錯誤しながらものづくりをする楽しさを実感できた授業でした。

周囲への感謝を忘れず、目標に向かって経験を積んでいきたい
大学生活を送る中で、意識していることや大切にしていることはありますか?
昔から大切にしているのは、感謝の気持ちを持つことです。きっかけは、小中学生の時に所属していたサッカーのクラブチームで、コーチから「サッカー以外のことができない人にサッカーをする資格はない」と言われたことでした。
最初は言葉の意味が分からなかったのですが、競技を続けるうちに少しずつ分かるようになっていきました。今でも忘れられないのが、大会で負けた後、あまりに悔しくて迎えに来てくれた親に対してふてくされた態度を取ってしまった時のことです。親はむやみに声を掛けず「お疲れさま、頑張ったね」とだけ言って、手作りのおにぎりを渡してくれました。その時に、いつもご飯を作ってくれたり、送り迎えをしてくれたり、道具をそろえてくれたり、自分がいかに親に支えられてサッカーができているかに気付いたのです。おにぎりを食べながら涙が出てきて、親に初めて「ありがとう」と伝えることができました。
それからは感謝の気持ちを持ち、行動で示すことを心掛けています。この精神は今も変わっていません。大学生活の中でも、そしてこれから技術者を目指す上でも大切にしていきたいと思っています。
大学生は、自己責任の範囲が広くなる
今後、どのような大学生活を送りたいですか?
僕が今、作りたいと考えているのは、体が不自由な方たちが自分の意思を伝えるのに役立つロボットです。これからの大学生活では、こうした高度なロボットを作るために必要な技術や知識を本格的に学んでいきたいです。
大学生になると自己責任の範囲が広くなり、何を学ぶのか、学んだことをどう生かすかは全て自分次第になります。そのため、正解を導き出す判断力やさまざまなことを想定して準備・対応する力も求められます。そして、そうした判断力を培っていくためには、経験が必要です。
こうした経験は、将来、技術者になった際にも役立ちます。技術者として責任と自信を持ち、仲間たちと協力しながら仕事をしていくために、学生のうちから学業や課外活動を通してとにかくさまざまな経験を積みたいと思います。
最後に、高校生へのメッセージをお願いします。
まずは、自分がやりたいことは何かを考えてみてほしいです。まだ見つかっていない方は、子どもの頃に好きだったものを思い出してみたり、高校の先輩や学校の先生から話を聞いてみたりすることから始めるのも良いと思います。僕は技術者になることを目標に、何を学ぶ必要があるのか、どこで学ぶべきかを考えた結果、明治大学に進学しました。まずは目標を決めて、達成するためにすべきことを逆算して考えていくことで、目標に一歩ずつ近づけるはずです!
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