
「知りたい」「体験したい」という好奇心を大切にしてきた住村咲彩さんは、学問の垣根にとらわれずに幅広いジャンルの学びを得たいという思いから情報コミュニケーション学部を選択したとのことです。大学生活の中で得た経験や発見、知識について伺いました。
住村さんのMeijingは、「さまざまなことを試す」を意味する“Experiment” ing
ジャンルを超えた学びを通して得た「多角的な視点」
明治大学の情報コミュニケーション学部に進学した理由を教えてください。
進路を決める時点では専門的に学びたいことが定まっていなかったため、興味のある講義を幅広く履修できる学部に進みたいと考えていました。異なる分野の知識を横断的に学ぶことで、多角的な視点や社会課題に柔軟に対応する力を身に付けたいという思いもありました。
明治大学の情報コミュニケーション学部は必修科目が少ない分、分野を超えたさまざまな講義をたくさん履修できるので、新たな気づきや関心と出会い、深めていきたい方向性を見つけられると感じ、志望しました。
多様な講義の中でも、特に印象に残っているものはありますか。
「不確実性下の人間行動」という講義が印象的です。人の選択は自由意志ではなく、商品などを提供する側の意図が影響しているということを学ぶ授業でした。例えば、最初から1,000円のものと1,300円から値引きされて1,000円になったものだと、後者の方がお得に感じて購入につながりやすいといった違いが見られます。
この講義を通して、潜在的なバイアスが日常的に潜んでいることや客観的かつ正確に情報を読み取ることの重要性を学び、日々の買い物でも広告や値札に書かれている文言を意識するようになりました。

情報コミュニケーション学部での学びを通じて、どのような知識やスキルが得られましたか。
興味のある分野に限らず多様なジャンルの講義を履修してきたことで、一つの物事について考える際に法学や行動経済学、生物学などのさまざまな視点から多角的に捉えることができるようになり、背景にある構造や本質を深く考察する力が身に付きました。
社会問題の多くは政治や経済、文化、歴史などのさまざまな要因が複雑に絡み合って生じています。表面的な情報で判断せず、あらゆる視点から本質を見極める力はこれからの社会で生きると感じています。
「言語表現」に隠された意図や影響を研究中
現在はどのゼミに所属していますか。
坂本祐太先生の社会言語学ゼミに所属しています。社会言語学は、言葉と社会のつながりを研究する学問です。好印象を与える言葉がある一方で、不快感を抱かせる言葉もあるように、言葉の表現によって印象は変わります。その作用を実践的に学ぶゼミです。
1、2年次に言語学の講義を受けた際、日本の漫画のセリフと外国語に訳されたセリフの読み比べを行ったのですが、各国の文化や考え方が訳に反映されていることに面白さを感じ、社会言語学ゼミを志望しました。
ゼミでは、どのようなことを研究してきましたか。
3年次には、5人で班を組み、言葉の表記について研究しました。私の班は、市販されているアイスクリームの商品名を平仮名、片仮名、漢字、ローマ字などで分類し、与える印象の違いを分析していきました。
300種類のアイスクリームを分類したりアンケート調査を行ったりするのは大変でしたが、客観的かつ詳細に分析する力やメンバーの意見をまとめる力を伸ばすことができました。
4年次には、どのようなテーマで研究を進めていますか。
言葉に隠された意図やニュアンスを意味する「言外の意」をテーマに、映画の字幕と吹き替えの表現の違いを分析しています。研究途中ではありますが、字幕より吹き替えの方が文字数が多く、話し言葉のニュアンスも加えられるため、作品で伝えたいことが伝わりやすくなるのではないかと考えています。
この研究を通して、言語表現が視聴者の感情や理解に与える影響について深掘りし、人々の共感を呼ぶ効果的な表現方法を見つけたいと思っています。
大学生活が充実したのは「なぜ?」を突き詰めてきたから
大学生活では、どのような考え方や価値観を大切にしてきましたか。
好奇心を大切にして、積極的に経験の場に出ていくことを意識してきました。講義で知識をインプットするだけでなく、「なぜ?」と感じたことを突き詰めて考える姿勢が自分を成長させてくれると感じたからです。
実際に、どのような場に参加しましたか。
K-POPがきっかけで韓国語に興味を抱き、2年次の夏休みに学部間共通外国語(MLP)の集中講座に参加しました。10日間、1限から5限までみっちり韓国語を学ぶのですが、韓国人の先生が親身になって教えてくれるのでとても有意義でしたし、成長する素晴らしさを再確認する場になりました。
集中講座を受けて自信が付いたので、韓国からの留学生をサポートするボランティア活動にも参加しました。留学生たちと一緒に韓国料理を食べに行ったり互いの言語を教え合ったりする時間を持ち、国を超えた交友関係を築くことができたのは、好奇心に従って一歩踏み出したからだと思っています。
学外の活動でも、成長につながった経験はありますか。
3年次から始めた学童スタッフのアルバイトでは、子どもたちに向けたワークショップの企画を担当しました。従来は2時間ほどで完結するワークショップが多かったのですが、3週間にわたって子どもたちが主体性をもって進めるという形式を提案したところ、職員の方々が興味を持ってくださり、実現することができました。
学童内の夏祭りに向けて、金魚すくいや輪投げなどを工作する内容だったのですが、子どもたちから「今までのワークショップで一番楽しかった」と言ってもらえてうれしかったです。この経験から企画力や主体的な行動力、柔軟な対応力が身に付きました。

自分の行動によって誰かの「喜び」を生み出していきたい
今後の目標、これから挑戦したいことを教えてください。
将来は、広告業界で活躍したいと考えています。大学生活を通して、自分の行動によって人の喜びや豊かさを生み出すことができると知ったので、さらに広い領域で喜びや豊かさを届けていく仕事がしたいと思ったからです。
情報コミュニケーション学部で培った多角的な視点を生かし、クライアントと生活者の両者の課題を解決できるような意義のある広告を提案していける人材になりたいです。
最後に、高校生の皆さんにメッセージをお願いします!
進学する大学を選ぶことは、人生の中でも大きな決断の一つだと思います。私自身も高校生の頃は、不安や迷いを抱えながら進路を考えていました。振り返ってみると、大学受験はそれまでの努力を試される場であると同時に、自分の可能性を信じて新しい一歩を踏み出すチャンスでもありました。
私が大切にしていたのは、「今の自分の限界で将来を決め付けない」ということです。成績や周囲の声にとらわれず、興味を持ったこと、やってみたいと思ったことに素直に向き合い、自分の可能性を自ら狭めないようにしてきました。
大学は、自分の興味を深めたり新しいことに挑戦したり、たくさんの人と出会って自分の世界を広げたりすることができる場所です。進路選びは迷うことも多いと思いますが、「どんな自分になりたいか」という未来のイメージを大切にしながら、今できることを一歩一歩積み重ねていってください。心から応援しています!
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