
簿記や会計学を中心に学びを深め、「公認会計士試験」に見事合格した段﨑弘生さん。「かつては明確な夢がなかった」という段﨑さんですが、自身の理想像を決めたことで将来への道筋が見え、集中するべきことが分かったそうです。学内・学外での経験と学びについて伺いました。
段﨑さんのMeijingは、目標や理想を「決める」を意味する“Decid” ing
周囲のサポートのおかげで目指し続けられた公認会計士
明治大学の商学部に進学した理由を教えてください。
高校時代の私は将来の進路が定まっていなかったので、どのような業界に進んでも生かせる会計やマーケティングの知識を身に付けるため、商学部を目指しました。
明治大学は、国内の私立大学で初めて商科を設けた大学という歴史と実績があり、選択肢を広げられる環境が整っていると感じたため、志望しました。
公認会計士は、いつ頃から目指し始めたのですか。
大学入学当初、SNSで同じ学年の人が「公認会計士を目指す」と書いていたのをたまたま見て、気になって調べたのがきっかけです。
公認会計士は、企業の決算書(財務諸表)をチェックし、第三者の立場からお墨付きを与える仕事です。専門性の高い業務内容に興味を抱き、「公認会計士を目指して学業に励んだら自分を変えられるかもしれない」と感じて、すぐに経理研究所(※1)のガイダンスに参加しました。
※1 経理研究所:明治大学内に設置された公認会計士養成機関

経理研究所では、どのようなことを学ぶのでしょうか。
学内講座と予備校の講座が一直線でつながるプログラムになっています。最初は学内講座で計算科目などを学んで基礎を固め、1年次の終盤から予備校に入って会計学以外の科目も深めていきます。私は1年次の春から参加しました。
公認会計士を目指す人が集まっているので、互いに勉強のサポートをしながらモチベーションを高め合うことができます。また、商学部だけでなく政治経済学部や経営学部など他の学部の学生も参加しているので、学部を超えた輪が広がるところも魅力だと感じています。公認会計士として活躍している先輩が相談に乗ってくださる機会もあり、励みになりました。
公認会計士を目指す中で、どのような苦労がありましたか。
最も苦労したのは、大学の講義と公認会計士試験に向けた勉強の両立です。公認会計士試験の出題範囲は膨大で、テキストを積み上げると2メートルほどになるので、精神的な負担を感じて挫折しそうになる瞬間もありました。
そんなときに支えてくれたのが、経理研究所の仲間や先輩です。もともと人に相談するのが苦手だったのですが、思い切って仲間や先輩に弱音を吐いてみるととても心が軽くなり、「人を頼っていいんだ」と思えるようになりました。たくさんの人に支えていただき、公認会計士試験にも無事に合格できました。

先に「目標」を設定すると「行動」は後からついてくる
大学生活を通して、得た発見や受けた影響はありますか。
旅行好きな友人が毎月旅に出ていたので、「なんでそんなに行動力があるの?」と聞いたことがあります。彼から「ひとまず航空券を買って、それから何をするか決めればいいんだよ」という答えが返ってきて、衝撃を覚えました。「目標を設定すれば、後から行動がついてくる」という考え方が新鮮だったんです。
先にいろいろ考えてしまう性格でしたが、彼の行動を真似し始めてから、さまざまなことに挑戦できるようになりました。私も旅行が好きになり、最近バイクの免許を取得したので、日本一周の計画を立てています。
友人から受けた影響によって、学業の取り組み方も変わりましたか。
理想像を決めるようになりました。公認会計士もその一つです。なりたい姿を決めて日頃から「自分はこうなりたい」と話すようにしていると、自然と行動や考え方が変化し、周囲からもアドバイスやサポートを受けられるようになり、理想像に近づいていくことを実感しています。
うまくいかない時期やハードルになりそうなことがあっても、「これからどうすればいいか」「何を変えていけばいいか」と前向きに考えられるようになり、立ち止まらずに行動に移す力も身に付きました。
公認会計士を目指すこと、人に頼ること、理想像を明確にすること。どの決断にも勇気が必要でしたが、決めることで思考や行動が変わり、自分自身を大きく変えることができました。

3年間のアルバイト経験で培った「社会人に必要なスキル」
学業以外で印象に残っている活動はありますか。
1年次から約3年間勤務した衣料品店でのアルバイトです。スタッフの皆さんがとても温かく、公認会計士試験に向けて「頑張ってね」と声をかけてくださり、試験直前には勉強に専念できるようにシフトを調整していただきました。人のつながりや感謝の気持ちを実感する場でしたね。
アルバイトの経験から、「マニュアル」と「報連相(報告・連絡・相談)」の大切さも学びました。「マニュアル」があることで、効率的かつ安定的なサービスを提供することができます。「報連相」は、ミスやトラブルがあった際に全員で迅速に対応するために欠かせません。
アルバイトで得た学びは、どのような場面で生かせそうですか。
社会に出てからも役立つ学びだと感じています。現在、監査法人で非常勤として業務に携わっているのですが、監査業務では、最終的な監査意見(※2)という共通の目標に向かって、それぞれの担当業務を期日内に完了させることが進捗管理において重要となります。そのため、チームの一員として強い責任感を持ち、綿密な報告・連絡・相談を徹底しています。また、会計処理や監査手続で判断に迷う際には、必ず監査基準や会計基準といったルールに立ち返るようにしています。
※2 監査意見:監査法人や公認会計士が、企業の財務諸表に対して表明する総合的な意見
臆することなく先輩とコミュニケーションを取り、判断に迷った際には基準に立ち返るという基本的な姿勢で業務に取り組めているのは、アルバイトの経験があったからだと感じています。
現場で経験を積み、いずれは“挑戦を支える会計士”に
今後の目標、これから挑戦したいことを教えてください。
現在は、「挑戦する方々を支える存在」という理想像を描いています。かつて夢を抱いていなかった自分も、多くの方々に支えていただきながら公認会計士という目標をつかむことができたので、自分も何かに挑もうとしている人の力になりたいと思うようになりました。
まずは監査法人で実務経験を積み、IPO(株式上場)を目指す企業のサポートに携わることを目標に掲げています。そして、いずれは独立し、“挑戦を支える会計士”としてより多くの方の背中を押せる存在になりたいと思っています。
最後に、高校生の皆さんにメッセージをお願いします!
私は公認会計士試験に合格し、自分の人生を自分で動かせるようになった実感があります。夢や理想を持つことはときに恥ずかしく思えるかもしれませんが、「夢を語る人」は本当にかっこいいと思います。高校生の皆さんにも、自分の理想を決めて、ぜひその理想を語ってほしいです。そうすることで、自然と理想に近付く行動ができるようになります。
今やりたいことがはっきりしていなくても、「こうなりたい」と決めるだけで人生は変わり始めます。夢は叶えるためにあるものです。勇気を出して、自分の一歩を踏み出してください。応援しています。
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