
企業に就職して働く将来を見据え、社会に出るために必要な知識やスキルを得るべく経営学部に進学した篠原陵太郎さん。さまざまな分野の講義を履修する中で、ビジネスへの意欲だけでなく文化やアートに対する興味も湧いてきたそうです。篠原さんが大学で触れてきた学びについて伺います。
篠原さんのMeijingは、価値観の「進化」を意味する “Evolv” ing
「経営学×他分野の学び」が新しい発想を生み出す
明治大学の経営学部に進学した理由を教えてください。
漠然としたものではありましたが、大学卒業後の就職を意識し、大学で学んだことを社会で役立てたいと思っていたんです。経営やビジネスに関する知識はどの業界に進んでも生きる力になると感じたので、経営学部を選択しました。
私は関西出身ですが、上京した方が大学在学中の経験も就職先の選択肢も広がるのではないかと考え、東京の大学に進むことを決意しました。中でも明治大学は、他学部の講義を履修する制度も充実していて、幅広い学びを得られると感じて志望しました。
経営学部での学びは、社会でどのように生きそうですか。
経営学は働くことと直結しているため、社会で働く方々がどのようなことを考え、どのような理論に基づいて日々働いているのかということを意識できるようになりました。特に人事労務に関する知識は、企業に属するにあたって必ず関係するものなので、大学生のうちに学んでおくことで就職活動や企業研究のときから生きる知識になると感じています。
「経営心理学」の講義で学んだ組織内の人材のモチベーション管理法やリーダーシップに関する知識は、現時点ですでに役立っています。模型部の幹事を務めているのですが、部員のやる気を上げて活動を活性化できるよう、学んだことを生かして動いています。
また、「グローバル・マーケティング論」もとても興味深い講義です。日本企業が海外展開していく際のステップだけでなく、「どの程度現地に適合化し、どの程度商品を標準化する(同じものにする)か」も考えていくので、経営者の視点で企業を見るという新鮮な経験を積むことができています。

実際に他学部の講義も履修していますか。
他学部開講の講義や教養科目も積極的に履修しています。これまでには哲学や文化人類学に関する講義を選択してきました。
現在は、情報コミュニケーション学部の「都市情報論」を履修しています。私たちが今生活している都市空間が、どのような意図で計画・設計されてきたのかを学ぶ授業で、企業活動においても重要なテーマになる分野なので、経営学部での学びとかけ合わせると新たな発想が生まれそうだと感じています。
文学研究が教えてくれた「他者と意見を擦り合わせる面白さ」
ゼミでは、どのようなテーマで研究を進めていますか。
所属している竹内ゼミは、経営学部では意外かと思われるかもしれませんが、文学や映画の研究を行っています。大学生活を送る中で、文化人類学や社会思想に強く興味を持つようになり、関連する研究ができそうな竹内ゼミを選択しました。
私はアーネスト・ヘミングウェイの短編小説『インディアン・キャンプ』を取り上げ、作品内で描かれていない部分の考察を行いました。作中でインディアンの男性が自死する理由は語られないのですが、ゼミ生との議論を重ねながら、文章表現や物語の構成などを通して登場人物の心情、作者の意図を汲み取っていく作業にやりがいを感じました。
ゼミを通して得た学びについて、教えてください。
研究を進める上で心掛けているのは、自分の解釈を恐れずに発信することです。個人的な解釈の発表は心の深い部分の開示にも似ているので、勇気がいりますが、言葉にして伝える経験を積むことで言語化する力が身に付いていきます。
ゼミ生の解釈を聞くと、私とは異なることも多々あります。その際に自分の意見に固執せず、互いの考えを擦り合わせ、議論を重ねることでより良い解釈にたどり着くことができると実感し、他者との意見調整や建設的な議論もできるようになりました。
海外留学は「さまざまな価値観」に直接触れられる場
1年次には、留学にも参加されたのですよね。
学内のIBP(International Business Program)に参加し、1年次の夏に1カ月弱、アメリカのポートランド州立大学に留学しました。高校生の頃から英語が好きだったこともあり、英語力を生かして働く未来をイメージしていましたし、いつか海外での生活を体験したいとも考えていたんです。
留学中は基礎的な語学研修だけでなく、経営学や効果的なプレゼンテーション方法を学ぶ授業や現地企業を訪問するプログラムもありました。「考える前に行動しよう」という意識で参加したので、コミュニケーションで苦戦することは少なかったのですが、ホームステイ先が菜食中心の家庭だったので、慣れない食生活に戸惑いました(苦笑)。
留学に向けて、どのような準備を行いましたか。
経営学部のグローバル経営人材育成トラック「GREAT」に所属し、少人数クラスでの語学学習に参加したことで、ベースとなる英語力を鍛えることができた実感がありました。授業中は基本的に英語で会話するので、英語で話すハードルもかなり下がりました。
留学に向かう直前には、ネイティブの先生から現地で使えるフレーズも教えていただきました。日々の買い物や食事、友人との会話などの場で活用できて、とても助かりましたね。

留学を経験して、どのような部分が成長・変化しましたか。
現地で暮らす方々と英語で話すことに対する心理的な障壁が取り除かれたことが、一番の成長だと感じています。英語しか通じない環境に身を置き、自分なりにコミュニケーションを取ったことで、発音や文法が完璧でなくても伝えたいことは伝わるということを体感しました。
また、菜食中心の生活や毎週日曜日のミサ(カトリック教会の典礼)など、今まで触れたことのなかった文化を体験し、多様な価値観を身に付けることもできました。今振り返ると、留学の経験が大学生活の転機になったように思います。
さまざまな文化を知ることで、「一つの価値観に縛られない」という発想ができるようになりました。他学部の講義を積極的に取るようになったのは、具体的なアクションの一つです。「卒業後は就職する」という考えも価値観の一つに過ぎないと感じ、早期卒業や大学院への進学なども考えるようになりました。自分の中の価値観が多様化し、さまざまな可能性を想像できるようになったと感じています。
海外の大学院に進学し「アートと社会の接点」を研究したい
今後の目標、これから挑戦したいことを教えてください。
卒業後は海外の大学院に進み、アート・マネジメントについて学びたいと考えています。アートをはじめとする文化芸術領域と社会の接点、拡散方法を研究する学問です。できるだけ早く経験を積みたいので、3年次での早期卒業も視野に入れて計画を立てています。
最後に、高校生の皆さんにメッセージをお願いします!
大学に入学すると、一気に世界が広がります。自分の身の回りの物事やこれまで親しんできた価値観を大切にしながら、思い切ってその価値観と距離を置いてみると、新しい発見があるかもしれません。
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