教育研究環境の整備に向けて(財務担当常勤理事 青木俊雄)
本年4月より財務担当常勤理事に就任いたしました。1980年に商学部を卒業し、公認会計士・税理士として会計監査業務や税務業務に携わってまいりました。この間、明治大学の私立学校振興助成法に基づく監査にも携わりました。これらの経験と知見を生かして財務担当常勤理事として大学の運営に微力を尽くしてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、私学を取り巻く環境は今後厳しくなることが想定されています。18歳人口は2023年には110万人、さらに2041年には80万人を切ることが予測されています。高等教育機関への進学率は上昇してまいりましたが、18歳人口の減少に伴い高等教育機関への志願者も減少をたどることになると思われます。当法人もこのような影響を少なからず受けることになります。このような中でも、わが明治大学の教育研究活動を永続的に維持してゆく必要があります。
学生数3万有余人を擁する明治大学を安定的に運営してゆくためには多額の資金が必要となります。この収入源の多くは学生生徒等納付金収入が主体となります。しかし、これからは学生生徒等納付金収入だけでなく外部資金の獲得が大切になります。競争的外部資金の導入、企業団体等からの受託研究、知的財産の活用などです。また募金活動などを通じた寄付金収入も大切です。資金運用につきましても、昨年度より一部資金については弾力的運用が認められましたので、一定の運用収入が確保できるように資金の活用を図ってまいります。
学校法人の決算では収入と支出の差額を収支結果として捉えて表しているのが、「事業活動収支計算書」における「基本金組入前当年度収支差額」です。2023年度は66.9億円の収入超過となりました。本学は創立150周年となる2031年度に向けた長期ビジョン「MEIJIVISION 150-前へ」を定め、その中で重点目標としている収入超過50億円を2023年度で早期に達成することができました。
しかし、施設面では駿河台キャンパスの再開発事業、生田キャンパスの新校舎の建設、和泉キャンパスの新研究棟の建設、体育会施設の建て替えなどさまざまな施設の建替更新が今後予定されています。また、学生の学びを支援するための奨学金や海外留学の支援なども行っております。
このように、大学を継続的に維持してゆくに当たり施設設備の維持更新のため、奨学金等の資金のため、引当特定資産を毎年度において計画的に積み立てておりますが、現在の積立金額では到底心もとない額となっております。従いまして、前述しましたように収入の確保を図るとともに、支出削減を重ねることが肝要と考えております。さらなる明治大学の発展を共に目指して皆さまのご理解・ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
明治大学広報第789号(2024年9月1日発行)掲載