明治大学の未来を見据えて――意思決定プロセスの大胆な改革を(理工学部長 渡邉友亮)
明治大学は、創立150周年という大きな節目に向け、着実に歩みを進めている。しかし、その先に広がる未来は本当に明るいと言えるだろうか。多くの方が心のどこかで感じているように、現状の延長線上に未来を描くだけでは十分ではない。
もちろん、本学が将来を見据え、法人および教学の双方において中長期的なビジョンを掲げ、それに基づく取り組みを着実に進めていることは事実だ。しかしながら、その内容は主として、時代の要請に応じた部分的な「アップデート」にとどまっている印象を受ける。残念ながら、これだけでは次の時代を切り拓くには不十分と言わざるを得ない。
では、明治大学にはどのような改革が必要なのか。私は、まず「意思決定プロセスの現代化」が不可欠だと考える。現在の明治大学における意思決定プロセスは極めて複雑であり、安全性・慎重性という点では優れているものの、急激な時代の変化に即応するには限界がある。
本学は140年以上の歴史を誇るが、その大半の期間は、日本が人口・経済の両面で成長を続けてきた時代と重なっている。そのような日本の発展期においては、慎重かつ多層的な意思決定プロセスはむしろ有効に機能してきた。しかし現在、日本は少子化と人口減少の現実に直面し、経済も長期的な停滞局面にある。大学界全体も、規模の縮小や構造転換を余儀なくされる時代だ。こうした環境下において、従来型の意思決定プロセスは明らかに時代とのミスマッチを起こしている。
実際、周囲を見渡せば、同規模の私立大学の中には、過去20年ほどの間に意思決定プロセスの大胆な見直しを行い、現代的なスピードと柔軟性を備えた体制へと移行した大学も少なくない。本学は、その点で明らかに後れを取っていると言わざるを得ない。
明治大学がこれからの時代を生き抜き、200周年に向けて、次の50年を切り拓くためには、この「意思決定プロセス」を現代にふさわしい形へと大胆にアップデートする議論を、先送りすることなく、今すぐに開始すべきだと強く考える。
明治大学広報第803号(2025年11月1日発行)掲載
