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論壇
2024.11.01

革新と伝統を継ぐ(教務担当常勤理事 竹本田持)

本年4月より教務担当常勤理事に就任いたしました。担当は教学企画、教務事務、入学センター、父母会および高等学校・中学校関係であり、教務部長や農学部長などの経験も生かしつつ、微力ながら明治大学に少しでも貢献できればと思っています。

さて、三淵嘉子さんをモデルとするNHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』が先日完結しました。毎日楽しみに視聴するとともに、法律考証をされた村上一博法学部教授の分かりやすい「今週の解説」(本学ホームページにて連載)により興味・関心を深めることができました。そして、ドラマにおいて家庭裁判所や少年法の話題が出るたびに、家庭裁判所裁判官として少年審判に関わっておられた上野正雄学長への敬意が大きくなった次第です。

「法曹三者」といわれる裁判官、検察官、弁護士の組織のうち、検事総長と日本弁護士連合会長が女性になったことが話題になっていますが、最終回の、「三淵さんのような女性が特別だった時代が終わったのではない、時代が彼女たちを特別にしていたのだ」というシーンは印象的でした。

ところで、10人のうち4人、6人のうち3人、7人のうち1人、13人のうち4人、という数字は何だと思われますか?これは、いまの学部長、副学長、学長室専門員、理事長・学長を除く理事・監事に占める女性の人数です。

男性、女性と分ける時代ではないかもしれませんが、「MEIJI VISION 150-前へ-」では、「グランドデザイン2030」に掲げた女性教員比率30.0%の目標達成に向けた取り組みをうたっています。教学(学部長・副学長・学長室専門員)の34.7%、理事・監事の30.8%という現在の役職者女性比率は、この目標値を達成しています。

女子学生・院生の割合は学部によってはそれ以上、例えば私の所属する農学部では半数が女子学生であり、いまの明治大学は、三淵さんが学び、活躍された時代のキャンパスとは雰囲気が大きく異なっています。今春から、いくつかの校友会支部総会および第60回全国校友香川大会に出席しましたが、質実剛健やバンカラと称された頃に学んだ諸先輩から、明治大学の近況について驚きと称賛の声を耳にしました。

京都大学広報誌『紅萠』の巻頭鼎談記事(2021年)に「革新してこそ伝統は続く」とありました。これは千年古都の京都らしい表現ですが、間もなく創立150年を迎える明治大学は、女性に法律を学ぶ門戸を開いたことを含め、革新を積み重ねて10学部16研究科の伝統ある総合大学となっています。さらに教育・研究を推進し、それを支える施設・環境整備に取り組むことで、これからも歴史を継承・発展していくことができると確信しています。(農学部教授)

明治大学広報第791号(2024年11月1日発行)掲載