2026年度政策学科設置について(政治経済学部長 小野島真)
これまで政治学科、経済学科、地域行政学科の3学科体制であった政治経済学部は、2026年度に政策学科を設置する予定である。地域行政学科は2025年度入試を最後に募集を停止し、2026年度入試では政治学科、経済学科、政策学科の3学科で学生を募集することになる。
地域行政学科は、2002年4月に政治経済学部に増設された学科である。この年には本学でも文学部に心理社会学科が、経営学部に会計学科と公共経営学科が増設されている。本学を含め、各大学で本格的な少子化を見据えた学部・学科の再編が多く行われた時期に、地域行政学科は設置された。学科名に「地域」を冠している点など、当時はかなり珍しい存在であり、入試面で若干苦しんだ時期もあった。しかしながら、首都圏で「地域」を学ぶというコンセプトは徐々に浸透し、これまでに約3100人の卒業生を送り出している。その後、多くの大学が「地域」を対象とした学部や学科を設置したことを見れば、当時の判断には先見の明があったと言えよう。
それではなぜ今、地域行政学科から政策学科へと改組するのか。実は地域行政学科の評価については、設置後10年ほど経過した頃から学部内で長く議論されてきた。さまざまな意見があったが、地域行政学科が、単に地方公務員の育成を目指す学科のように高校生から受け取られているのではないかという点も議論の対象の一つであった。
確かに地方公務員の育成は学科の一つの特色でもあり、実際に多くの地方公務員を輩出してきたことはわれわれにとって誇りである(多い年では就職者の2割以上が公務職に就いた)。しかしながら、本来「地域」は「地方」だけを指すのではなく、より広義な意味を持つものであり、さらに地域の課題を解決する主体は「行政」だけではない。
そこで、地域行政学科の基本コンセプトである、広義な意味での「地域」の課題解決について学際的な知識を身に付け、実践的に学ぶという方針を踏襲しつつ、最新のデータ分析やDXの手法などにもより焦点を当てた学科として、新たに政策学科が構想されたのである。
個人的には、徐々に浸透してきた「地域」という言葉が学科名から外れるのは少々寂しいが、次年度に政策学科の一期生を万全の体制で迎えることができるよう、準備を進めていきたい。それと同時に、現在の地域行政学科の学生たちも責任を持って送り出すことができるよう体制を整えたいと考えている。
政策学科の完成年度は2029年度である。国内外における諸課題への理解を深め、その解決に向けた政策の在り方を構想・立案し、さらに実行できる「政策」の担い手を、官民を問わず輩出していきたいと考えている。
明治大学広報第800号(2025年8月1日発行)掲載