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論壇
2024.12.01

「強い個」の相互作用で「明大山脈」創造を(学務担当常勤理事 小西德應)

理事に就任し半年余りがたちました。この間に本学がぜひ推進すべきだと考えたことを一つ紹介します。結論から記すとそれは、建学の精神のもと「強い個」となって活躍している校友の方々に光を当て、その相互作用により新たな「明大山脈」を作ることです。

唐突な提案に聞こえるかもしれませんが、創立140周年事業の一つとして始まった「明大山脈」顕彰の拡大版です。大学史資料センター運営委員によって、現在も「明大山脈」が発掘され、大学のHPや書籍(5冊)で公表されています。しかしながら現段階で、対象は物故者です。今日ではそれら校友の事跡どころか名前も忘れられてしまっているので、顕彰の意義は非常に大きいです。

さて、この春学期にいくつかの校友会支部を訪問し気付いたことがあります。それは、各支部には政治や経済、文化など多様な分野で大活躍されている校友が多数いらっしゃることです。ところが、その支部ではよく知られた方であっても、他支部では全く知られていません。今回お会いした方々の中から一部を挙げると、地域トップのスーパーを10店舗以上展開している方、地域の名産品を代々製造している方、独自のビジネスモデルを展開している方などです。まさに「鉱脈」として注目されるべき「強い個」です。

そうした校友による講演会やプロジェクトを実施することは、校友相互および大学との関係を強める場となり、求心力を持つこととなります。鉱脈の存在が校友をはじめ全国に認識され、さらに地元や旅先で多数の人々が安心と親近感を持って利用すれば、校友全体のモチベーションが上がり、地域の枠を超えて本学の名声が高まります。しかも、そうした鉱脈をネットワーク化することで相互作用が起こります。新しいスキームが生まれ、「造山運動」が始まり山脈へと成長することが期待されます。

また、「目指す先輩像」が明確に出来上がることで、学生や校友、そして父母に、結果的に各地区や世界に対して、多大な影響を与えることでしょう。それは地域・社会貢献にもつながるものです。

とはいえ、マンパワーの点から学内でそうした事業展開をすることは難しいので、実情が分かる校友会各支部から紹介していただくのが良いでしょう。1年に2人ずつでも、年間約100人がリストアップされます。地区別、業種別に一人でも多くの校友をデータベース化し、閲覧できるようにすることで利用も広まります。

なお、来たる創立150周年を意識して大々的に展開しないと、200周年まで大規模な祝賀はできません。150周年事業がどのような基本コンセプトと枠組みになろうとも、オール明治の知恵と資産を投入して、早急に着手したい事業です。新しい明治大学を創出する確実な一歩になると信じています。(政治経済学部教授)

明治大学広報第792号(2024年12月1日発行)掲載