人口減少時代に問われる本学の真価――挑戦する人材を育む大学へ|副学長(教務担当)・加藤久和
明治大学では2025年度に教務部内に「起業・スタートアップ支援室」を開設し、学生に対するアントレプレナーシップ教育や起業支援について、本格的な取り組みを開始しました。昨年度は、これまで経営学部が主催してきた「明治ビジネスチャレンジ」を引き継ぎ、全学的な体制の下で実施したほか、東京都が実施する「大学発スタートアップ創出支援事業(学内体制構築支援)」に採択され、外部の専門家からの支援を受けながら、学内体制の構築に本格的に取り組んでまいりました。
2026年度には、25年度に開講した全学共通総合講座「明治起業家学~起業はキャリアの選択肢~」に加え、新規事業に挑戦してきた校友の皆さまが講師を務める「明治スタートアップ学~キャリアの選択肢としての起業・スタートアップ概論~」も開始したところです。「明治起業家学」では起業に必要な知識を学び、「明治スタートアップ学」では起業家らの経験や実践知に触れることで、両講座がアントレプレナーシップ教育の両輪を担っています。また、6月末には生田キャンパスで、主に教員を対象として「明治大学発起業・スタートアップ創出に向けて」と題するシンポジウムを開催しました。
このように、学生に対するアントレプレナーシップ教育の充実を図るとともに、研究シーズの発掘、教員や学生の起業への機運醸成、研究成果の社会実装による課題解決(社会貢献)などを目指した仕組みを展開してきました。この流れをさらに確かなものとし、アントレプレナーシップ教育・起業支援の体制を強化するため、7月から「明治ビジネスチャレンジ実行委員会」を「アントレプレナーシップ教育・起業支援推進委員会」に改組し、全学部・専門職大学院から委員を選出する全学的な体制へと充実を図ったところでもあります。
生成AIの進展をはじめとするさまざまなテクノロジーの出現、さらには地球規模の環境問題や国際化の進展など、経済社会を取り巻く変化は激しく、将来の見通しが困難な時代に突入しております。言い換えると、これまでの常識や当たり前が通用しなくなっている現在こそ、革新的なアイデアによる新たな事業を始められる、いわばチャンスが到来しているとも言えるのではないでしょうか。こうした時代背景の中で、学生のアントレプレナーシップの精神を育んでいくことは、大学にとっても重要な役割であると考えております。
18歳人口の減少が目前に迫る現在、大学も淘汰の時代を迎え、どのような特色を世の中にアピールしていくかが、これまで以上に問われております。大学によるアントレプレナーシップ教育や起業・スタートアップ支援は、こうした大学の生き残りにもつながる重要な方策の一つであると考えています。(政治経済学部教授)
明治大学広報第812号(2026年8月1日発行)掲載
