【思索の樹海】『留学への挑戦』――明治大学から新入生へのメッセージ――は、新入生に高校時代までと大学での勉強の違い・面白さ・心構えなどをお伝えするコーナーです。今回は経営学部の金子敦子先生に、ご執筆いただきました。

PROFILE:
明治大学経営学部教授。ビジネスコミュニケーションを専門とし、英語による専門科目や国際的な学びの設計に携わる。学生が自分の考えを言葉にし、異なる背景をもつ人と協働する力を育む教育に取り組んでいる。
世界が広がるということ
留学の本質は、自分の前提や価値観が揺さぶられる経験にある
先日、アメリカへの留学を終えて帰国したばかりの4年次のゼミ生が、ゼミに戻ってきました。
少し日焼けした顔で、目をきらきらさせながら、「行って良かったです。本当に視野が広がりました。留学前は、今思えば小さなことにばかり、こだわっていました」と話してくれました。その言葉が、今も印象に残っています。
「留学」と聞くと、語学力の向上や異文化体験を思い浮かべる人が多いかもしれません。もちろん、それらも大切な要素です。しかし、学生たちの話を聞いていると、留学の本質は「海外に行くこと」そのものよりも、自分の前提や価値観が揺さぶられる経験にあるように感じます。
外国に行くと、光の色が違う。建物も電車も、木の葉や花、空も、どこか違って見える。それだけでも、わくわくするような刺激です。さらに、そこで生活し、人と関われば、さまざまな発見があるでしょう。どこでも同じだな、と思うこともあれば、常識だと思っていたことが通じない場面にも出会います。こうした経験に何度も向き合う中で、人は本気で、深く考えるようになります。
留学中は、決して順調なことばかりではありません。思うように成果が出なかったり、孤独を感じたりすることもあります。それでも多くの学生は、帰国後に「自分は大丈夫だと思えるようになった」「失敗を必要以上に恐れなくなった」と語ります。冒頭のゼミ生もまた、そうした変化を実感しているようでした。
大切なことは、大学の4年間で自分の世界を少し広げてみようとする姿勢
留学は、自分の軸を見つめ直す時間になることもあれば、人生を大きく変える経験になることもあるでしょう。もちろん、留学は全ての学生が必ず挑戦すべきものではありません。大学生活の形は人それぞれで、学内での学びや国内での活動にも、同じように価値があります。大切なのは、大学での4年間のどこかで、自分の世界を少し広げてみようとする姿勢だと思います。留学は、そのための一つの選択肢にすぎません。
新入生の皆さんは、これから始まる大学生活の中で、多くの選択肢に出会うことでしょう。最初から進路を決める必要はありません。学びながら、迷いながら、ご自分のペースで、自分なりの道を探していってください。その過程で、留学という選択肢が、皆さん自身の問いを深める一助となれば、うれしく思います。
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