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思索の樹海
2026.04.03

『知の広場』――明治大学から新入生へのメッセージ――「学問の世界へようこそ」|理工学部・野原雄一先生

理工学部教員学生生活サポート思索の樹海

【思索の樹海(うみ)】『知の広場』――明治大学から新入生へのメッセージ――は、新入生に高校時代までと大学での勉強の違い・面白さ・心構えなどをお伝えするコーナーです。今回は理工学部の野原雄一先生に、ご執筆いただきました。

学問の世界へようこそ

現代数学について少しだけ

高校までの幾何学は三角形や円といった図形を扱う分野でしたが、現代の幾何学はそれとは大きく異なり、「空間」を研究する分野となっています。宇宙や物理学に興味があれば、我々が住む宇宙は4次元(もしくは10次元)の曲がった空間だと考えられていると聞いたことがあるかもしれません。このような高次元の曲がった空間をより一般的に研究するのが現代の幾何学です。現代数学は、高校までの数学とは比べものにならないほど広く深く発展しています。

大学で学ぶということ

数学に限らずどの分野でも、大学で学ぶことは高校までの内容より格段に深くなります。その学びの目標は、「まだ誰も答えを知らない問題に向き合い、解決を目指す」という研究のプロセスを経験することだと言ってよいでしょう。このプロセスにおいて最も難しいのは、解くべき「良い問題」を見つけることだとも言われます。そのためには、答えが分かっている問題の解き方を覚えるだけの勉強では不十分です。未知の問題に向き合うには、試行錯誤を重ねながら考え続ける姿勢が欠かせません。

学問をするためのヒント

大学で学ぶ際に、多くの分野で共通して重要だと思われることを三つ紹介します。

(1)分からないことに向き合う

大学で学ぶ内容は、多くの研究者が長い年月をかけて築いてきた理論なので、すぐに理解できないのは珍しいことではありません。試行錯誤の過程そのものが理解を深めるので、悩んだ時間も無駄にはなりません。

(2)疑問を持つこと

良い問題を見つけられるようになるための(おそらく唯一の)方法は、日頃から疑問を見つけようとすることです。常識だと思われていたことの中に問題が隠れていることもあります。教科書や授業の内容もうのみにせず、本当に納得できるまで考える姿勢が重要です。

(3)少し背伸びをしてみる

1・2年次は基礎を身に付ける段階ですが、余裕があれば専門書を眺めたり、教員に話を聞きに行ったりして、より専門的な世界をのぞいてみることもお勧めです。先に広がる世界を知ることで、基礎の意味や位置付けがより明確に見えてくるはずです。

学問を楽しむために

学問にはおそらく「理解させる」「楽しませる」という他動詞はなく、「理解する」「楽しむ」という自動詞しかありません。大学が提供できるのは学問のための環境と材料、そして少しの手助けだけで、学問を楽しめるかどうかは皆さん自身の主体性にかかっています。これからの4年間が、未知の世界を切り開く豊かな時間となることを願っています。

理工学部めいじろう
「思索の樹海(うみ)」『知の広場』を執筆いただいた先生野原雄一先生(理工学部 准教授)

PROFILE:
岐阜県出身。名古屋大学大学院多元数理科学研究科 博士課程前期課程、博士課程後期課程修了。博士(数理学)。東北大学理学研究科助教(GCOE)、香川大学教育学部准教授などを経て、2016年より現職。専門はシンプレクティック幾何学。

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