【思索の樹海】『学生生活への扉』――明治大学から新入生へのメッセージ――は、新入生に高校時代までと大学での勉強の違い・面白さ・心構えなどをお伝えするコーナーです。今回は法学部の渡邉泰彦先生に、ご執筆いただきました。

PROFILE:
京都市生まれ。同志社大学大学院法学研究科私法学専攻博士後期糧修了。博士(法学)。専門は民法(家族法)、SOGI(性的指向・性自認)と法。具体的には自認する性別への性別変更、同性間の婚姻、同性の両親と子の家族を外国の法制度と比較しながら研究しています。いわゆる標準語(東京弁)は話せません。
新しい環境には、可能性しかない
新入生の皆さま、ご入学おめでとうございます。大学というのは、これまでの高校とは違うと感じているのではないでしょうか。新しい環境だからといって、不安になる必要はありません。今まで何千、何万という先輩方が明治大学に入学する時に経験し、うまくやってきたのですから。
新しい環境はチャンス
かくいう私も、2025年度から明治大学の教員となり、生まれて初めて東京で生活しています。振り返ると、新しい環境に飛び込んだり、放り込まれたりすることは、これまでも経験してきました。2004年に法科大学院という制度ができた時には、これまた訪れたこともなかった仙台の地で、誰も経験したことがない専門職大学院で教える機会を得ました。2019年にドイツに留学した時には、2020年3月から新型コロナウィルス感染症のパンデミックに出くわしました。
こうして自らの経験を振り返ると、新しい環境とは、「高揚感」というアクセルと「不安」というブレーキが共存する中で、自分を成長させる大きなチャンスです。それは、何歳であっても変わりません。分かっていることを繰り返すのではなく、想像もしなかった新たな出来事に直面し、考え、取り組むからこそ、大きな成長があるのでしょう。小さな失敗を次への糧として生かすことができれば、大きな失敗を防ぐための力となります。
「自分にとっての新しい」と「みんなにとっての新しい」
「新しい」ということは、「自分にとって新しいこと」「みんなにとって新しいこと」の二つがあります。
「自分にとって新しいこと」ならば、先に経験した人からのアドバイスを受けることができます。そのアドバイスを基に自分でアレンジしていくことで、ますます可能性が広がっていくことでしょう。
「みんなにとって新しいこと」ならば、みんなで共にチャレンジすればいいでしょう。模範や先例はなくても、自分たちで作っていく空間が広がっています。進んで道を開いていけば、他に道を開いている人と出会い、やがてその道をたどる人々が集まってくるはずです。
チャンスは、行動し続ける人のもとへ
「SOGI(※)と法」という私の研究分野も、最初はみんなにとって新しい分野でした。それでも、研究する人々が集まり、外国の法制度を調査し、意見を交換し、テーマが広がっています。それぞれが開いた道が、つながってきているのです。そこには、チャンスという偶然が作用するかもしれません。チャンスは、行動している人にやってくると思います。何もしていない人は、たとえチャンスがやってきても、気が付かないでしょう。
時にはゆっくりと休み、無為な時間を過ごすこともあります。それでも、全体として進んでいくことが、目先の結果よりも大切です。
新しい環境には、可能性しかないのです。
※SOGI:Sexual Orientation and Gender Identityの頭字語で、「性的指向(好きになる性)」と「性自認(自分の心の性)」を包括して表す、全ての人が関わる概念

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