駿風
2025.03.01
「駿風」2025年3月
今年度、本学での話題は何といってもNHK連続テレビ小説『虎に翼』であった。私自身、ドラマは欠かさず見た。博物館の特別展示も見に行った。舞台となった大学に勤務していることが誇らしかったし、馴染みのある御茶ノ水の風景が映ることはうれしかった。
物語では、主人公の寅子が周囲の意見や当たり前とされている慣習に納得がいかないときに「はて」と呟く。そこから寅子は自分の道を切り開いていく。うまくいくことも、そうでないこともあるのだが、寅子の「はて」から物語が様々に展開した。
卒業生はそれぞれの進路を選択し、今、門出を迎えている。この先、自身にとって当たり前であった価値観を変えざるを得ないことや、社会に合わせることを求められる場面は多いであろう。しかし、その都度、自分が感じる「はて」を大事にし、考えを深めてほしい。そして、そこから、自身の道を作っていってほしい。そのことが、それぞれの「個」を強くしていくことに他ならないのだから。
卒業生の皆さま、ご卒業おめでとうございます。皆さまの将来に幸多からんことをお祈りしております。
明治大学広報第795号(2025年3月1日発行)掲載