駿風
2025.07.01
「駿風」2025年7月
バンドマンの学生が、意外なことを教えてくれた。「先生、バンドの質を決めるのはドラムとベースなんですよ。極端なことを言えば、ボーカルとギターが二流でも、ドラムとベースが一流であれば、何とかなるんです」
バンドの花形はボーカルとギターだと信じていた素人の私は釈然とせず、何人かのバンドマンに真偽を尋ねてみた。すると、驚くべきことに、全員から肯定的な答えが返ってくるではないか。「グルーヴが安定する」「生まれるエネルギーが違う」「ドラムとベースが下手だと全体がもたつく」などなど。音楽にとって、リズムを作ることはそれだけ大切なのだろう。
考えてみると、これは大学組織にも当てはまるかもしれない。私は、大学の質を決めるのは、教員ではなく、主として職員なのだと思っている。大学のリズムやエネルギーを作り、教員が教育や研究を良い形にできるような組織の質を整えてくれるのは、職員たちである。本学が社会から高い評価を頂けているのも、名ドラマー、名ベーシストならぬ、名職員たちあってこそだということを、多くの人に知っていただきたい。
明治大学広報第799号(2025年7月1日発行)掲載