徒然草―学生相談室より|情報コミュニケーション学部 専任教授 施 利平
学生相談室相談員 情報コミュニケーション学部 専任教授 施 利平
毎日学生に接していると、ジェネレーション・ギャップを感じることが少なくない。趣味を持てなくて苦しんでいる学生がいる一方で、趣味が多すぎたり、または人並みすぎたりして困るという学生もいる。まだ入学したばかりにもかかわらず、もう就職について焦っていて、「早く就職し結婚して、安定した生活を送りたい」という学生がいる一方、30歳から60歳までの人生設計を書かせてみると、何も書けなくて白紙のままで提出してくる学生も、一人や二人ではない。
自分自身の人生を振り返ってみると、中国の大学で日本語を学んだが一向に上達しないので、日本語の先生に「日本に行ってみたら?」とすすめられ、「日本語を上達させたい」という一心で来日した若き私。
学部4年次で就職と大学院進学で迷った時、会社訪問した企業の女性社員の仕事内容は、一生飽きずに打ち込める仕事だとは思えず、大学院進学を決めたが、博士後期課程入学試験の面接時に面接担当の教員から、「博士後期課程に進学し、博士号を取得したとしても、就職の保障はない」と言われた。それでもなんかとなると思い、あれこれ深く迷わず、ただただ目の前の課題をこなし、その時その時の自分の心の声に従ってきた私の人生経験では、今の若い学生たちの焦り、戸惑い、苦しみをだんだん理解できなくなってきたと感じる今日である。
趣味を持てなくて困るなら、いろいろと試すのも良いだろう。それでも、はまらないのであれば、それはそれで良いではないか。多趣味は時間もお金もかかるが、誰にも迷惑をかけていないし、自分のできる範囲で楽しめばと思う。趣味が人並みすぎるという悩みも、趣味は自分さえ楽しめれば、打ち込めるからこそ趣味なのである。別に人と競い合って、人より優れていないとダメというものではない。
せっかく受験戦争から解放され、めでたく大学に入学したのだから、これからは今までやりたくてもできなかったことを楽しめば良い。早めに早めに自分自身の人生を決めなくても、良いではないか。
やりたいことがあるなら、まずやってみる。やりたいことがないなら、いろいろな授業をとってみる。授業の担当教員とおしゃべりをしてみる。大学のサークルや部活動に入ってみる。アルバイトでさまざまな職種を体験してみる。本を読む。映画を見る。旅行に出かける。恋をする。まずは少しでも興味を持てることからスタートしてみよう。焦らず、コツコツと何かに打ち込んでみよう。いつかの時点であなたらしさ、私らしさというものは形成されると信じる。
ページの内容や掲載者のプロフィールなどは、記事執筆当時のものです。
Meiji NOWでは、Xアカウント(@meiji_now)で日々の更新情報をお知らせしています。Xをご利用の方は、以下のボタンからMeiji NOW公式アカウントをフォローして、情報収集にご活用ください。