第654回 明大スポーツ新聞部 ズームアップ
文/杉田 凜(情報コミュニケーション学部3年) 写真/髙橋 未羽(政治経済学部2年)
昨年の男子ラクロス部を率いたのは、エース・AT佐藤颯士主将。華麗なステップと正確なショットで得点を量産し“背中で魅せる”の言葉が最も似合う主将だ。春の六大学戦では、佐藤がチームの計25得点中14得点を決める活躍で、チームを2位に導いた。一方、ケガで欠場した試合は格下相手に敗れるなど、佐藤を中心としたオフェンスは、絶対的な強さと同時にもろさも抱えていた。
満を持して迎えた関東学生リーグ戦だったが、初戦は慶大に大差で敗れ、次戦では2部から昇格した青学大に残り1分で失点しまさかの引き分け。思うように結果が出せなかった。続く早大戦も5-6で惜敗し、自力でのファイナル4進出を逃した。試合終了のホイッスルが響くと、佐藤は防具を外し、顔を手で覆いながらしばらく地面を見つめた。2週間後の日体大戦では、相手DFにぴたりとマークされ、何もできなかった。
まさかのリーグ戦未勝利で迎えた最終戦。佐藤は「みんなが持っている熱意や、抱えている思いを全部力に変えて、全力でプレーしよう」とチームを鼓舞。武蔵大戦では下級生も躍動する総合力で勝利し、有終の美を飾った。「チームを支えようと頑張ってきたが、自分一人ではダメだと気づいた。圧勝できて気持ちいい反面、日本一になれず悔しい気持ちが混ざる」と複雑さを語るも、長い戦いを終えた表情はどこか晴れやかだった。
振り返れば、4年生の代は苦難の連続だった。下級生時のBリーグ戦も1勝が遠く、心無い言葉を浴びせられることもあった。それでも彼らは、「どんな逆風が吹き荒れようとも、仲間と共に、前を向いて走り続ける」というHUSKIESの魂、学生スポーツの真髄を、まさしく体現した世代だった。
(さとう・そうし 商学部4年 徳島市立高校 170cm・70kg)
明治大学広報第795号(2025年3月1日発行)掲載