国内の女性が理系へ進学するにあたり、進路選択の判断材料やキャリアを描くための身近なロールモデルが不足していると考えられている 。こうした背景から、理工学部は11月2日(土)、女子中高生向けイベント「ふらっと理工系トーク@生明祭」を生田キャンパスで開催した。同キャンパスの学園祭「生明祭」に合わせて開かれたこのイベントには、理工系への進路選択を考えている女子中高生と保護者を中心に61人が参加した。
理工学部は、イノベーションを創出するには誰もが「フラット(平等)」に学べる環境が重要だと考えている。今回のイベント名にある「ふらっと」にこのような学部の姿勢と「気軽に」参加してほしいという2つの意味を込めた。イベントは前半のパネルトークと後半の雑談会の2部に分けて行われた。
前半のパネルトークではまず、社会の第一線で活躍する2人の卒業生が登壇。「働いていて心から楽しいと思える瞬間は?」「進路を決断した時に悩んだことは?」などを話題に、高校・大学時代を振り返りつつ、現在の仕事の醍醐味や学問とのつながりについて、それぞれ率直に語った。
株式会社バンダイで児童向け玩具の技術設計を担当している永松洋乃さん(機械情報工学科2022年卒業)は学生生活について、「私の学科は女子が少なかったが、学科の垣根を超えた『無学科混合クラス』の授業があったので、女子同士の交流がたくさんあった。親友との出会いも混合クラスだった」と当時を振り返った。
日清オイリオグループ株式会社で化粧品原料の品質企画・分析業務を担っている秋野友香さん(理工学研究科応用化学専攻博士前期課程2023年修了)は進路選択について、「理科がとにかく好きだったので学部選びに迷いはなかったが、大学院進学は慎重に考えて両親にも相談した。専門性を生かした仕事をしたいという気持ちが強まったのが進学の決め手となった」と明かし、「理工学研究科で得た深い学びや考え方、アプローチの視点が研究職としての土台になっている」と語った。


続いて、7人の現役理工学部生・理工学研究科生が登壇。理系への進路を決心した経緯などについて、「もともと興味があった医療分野(医学)とものづくり(工学)が融合された分野を学べると知って明治大学へ進学した」(理工学研究科電気工学専攻博士前期課程2年・宇賀田麗衣さん)、「理系科目が得意だったのと、シンプルに星とか天体を見るのが好きだったので物理学科を選んだ」(同研究科物理学専攻博士前期課程2年・金澤亜衣子さん)、「高校の時は、化粧品や食品、再生医療に興味があって、それら全てがつながるのは今の学科(応用化学科)しかないと思った」(理工学部応用化学科4年・福田栞也さん)、「明確なイメージはなかったが少しでも面白そうで興味を持てた学科に進んでみた。入学してから自分が極めたいことを見つけるのでも遅くないと思う」(同学部電気電子生命学科4年・稲葉彩華さん)とそれぞれが思い思いのメッセージを送った。

後半は、卒業生と学生らが席に着き、10人程度のグループに分かれた参加者と飲食しながらの雑談会が行われた。理工系の学問分野や学生生活、学びの専門性を生かした働き方、進路への悩みなど幅広いテーマについて、通常のイベントとは異なる和やかな雰囲気で交流が行われた。

参加者からは「学んだことを仕事につなげている卒業生の2人が生き生きとしていた」「『自分の興味を大切に』という言葉が胸に刺さった」「学生の方から、私の不安に寄り添って的確なアドバイスをいただけた」といった前向きな感想が寄せられた。また、イベント終了後も熱心に個別質問をする多くの中高生たちの姿が見られた。
イベント前後には卒業生・学生・教職員らが互いに交流・意見交換する時間も設けられ、大学の縦横のつながりを強めながら、学部の取り組みを振り返る有意義な機会にもなった。(理工学部事務室)