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2025.12.24

国際マンガシンポジウム「グローバル時代の世界のマンガ:アメリカ・タイ・アフリカ」を開催|国際日本学部

国際日本学部

国際日本学部は11月30日、中野キャンパスで「GJS DAY」を開催した。GJS DAYは、国際日本学部(School of Global Japanese Studies)での研究内容を学部生および学外の方に一般公開することで、学部生(主に1・2年生)には「ゼミを選択するための情報収集の機会」に、学外の方には「本学部での学びを知っていただく機会」として、年に一度開催されている。

本イベントの企画の一つとして、藤本由香里教授が国際マンガシンポジウム「グローバル時代の世界のマンガ:アメリカ・タイ・アフリカ」を開催した。このシンポジウムは、アメリカ・タイ・アフリカ地域における、それぞれのマンガの歴史や現状、今後の展望などについて、研究者らが語り合うもの。ニューヨーク市立大学(アメリカ)のCJ鈴木准教授、チュラロンコン大学(タイ)のアサダーユット・チューシー助教授、藤本ゼミ2期生でJETRO(日本貿易振興機構)駐在員の堀内千浪氏が登壇し、講演を行った。

司会を務めた藤本教授

はじめに、ニューヨーク市立大学のCJ鈴木准教授が「変化する北米コミックス——多様性を読み解く力」をテーマに講演。現在のアメリカでは、スーパーヒーロー作品で知られる従来のアメリカン・コミックス(アメコミ)に加え、グラフィックノベルが存在感を増していることや、さまざまな社会的マイノリティや社会問題に焦点を当てた作品が増加していることなどについて説明した。一方、このような動向に対する保守派からの攻撃が盛んになってきている点や図書館での閲覧禁止を求める勢力の実態などについても報告があった。

講演を行うCJ鈴木准教授

続いて登壇した、チュラロンコン大学のアサダーユット・チューシー助教授は、「タイにおけるカートゥーン——歴史から現在まで」と題して、19世紀から現在に至るまでタイのカートゥーンがどのように発展してきたのかについて説明。不況を背景とした小型の1バーツ・コミックスの誕生と、中でもホラーマンガが主流となっていった過程、ギャグマンガの隆盛、テレビ番組による批判を受けたBL作品の受難など、さまざまな興味深い事例を紹介した。また、現在のタイでは書店の減少に伴い、紙媒体のマンガは予約販売が中心となりつつある傾向についても報告した。

本学の客員研究員でもあるアサダーユット・チューシー助教授

最後に、藤本ゼミ2期生でJETRO南アフリカ駐在員であった堀内千浪氏が登壇。堀内氏は、「アフリカにおける日本のマンガ・アニメ——南アフリカを中心に」をテーマに、アフリカ地域とアジア地域の経済規模の比較、アフリカ有数の経済大国である南アフリカ共和国について解説した。また、南アフリカで毎年開催されている「コミコン・アフリカ」の写真や南アフリカでの日本マンガの販売状況の資料、市場規模なども紹介。堀内氏は「英語で読む日本マンガは輸入品で、2000円~2500円という高値になるため、販売冊数は少ないが、若い人口が多く将来的な販売のポテンシャルは大きい」と語った。

JETRO駐在員の堀内氏

今回のシンポジウムは、アメリカ・タイ・アフリカのマンガについて理解を深める貴重な場となった。また、会場にはさまざまなマンガの研究者や関係者が訪れ、関係者同士の相互交流の場としても実りの大きいイベントとなった。(中野教務事務室)