2022.04.05

【思索の樹海(うみ)】『知の広場』―明治大学から新入生へのメッセージ―「専門性と教養―大学での学びについて」法学部 佐藤公紀先生


【思索の樹海(うみ)】『知の広場』―明治大学から新入生へのメッセージ―は、先生の研究分野の紹介を通して,新入生に高校時代までと大学での勉強の違い・面白さ・心構えなどをお伝えするコーナーです。今回は法学部の佐藤公紀先生に、ご執筆いただきました。
【思索の樹海】『知の広場』を執筆いただいた先生佐藤公紀先生(法学部専任講師)

PROFILE:
1978年大阪生まれ。2010年東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻単位取得退学。博士(学術)。共立女子大学等非常勤講師、在ドイツ日本国大使館専門調査員を経て、2019年より現職。専門は、ドイツ近現代史/現代ドイツ政治。共著に、石田勇治/川喜田敦子編『ナチズム・ホロコーストと戦後ドイツ』(勉誠出版)。

専門性と教養―大学での学びについて

新入生の皆さん、この困難な状況の下でも、強い意志を持って最後まで自分を貫き、ご入学を果たされたことを心からお祝い申し上げます。

「専門性」を身に付けるとは

さて皆さんは、これから大学でそれぞれの興味関心に従って自分の進むべき道を熟考し、それについての「専門性」を身に付けていくことと思います。ところで、この「専門性」を身に付けるとは一体どういうことだろうと聞かれたら、皆さんはどう答えるでしょうか?たとえば「特定の職業につくために、高度に専門化された知識に習熟する」といった答えを思いつく人も少なくないでしょう。大学での学びの柱の一つは、将来を見据えた上で各分野における専門知に慣れ親しみ、これを修めることにあるのですから、そのような連想は至極当然のことです。

「教養」とは

しかし、それは「専門性」というものの一面を指しているに過ぎません。というのも、逆説的ですが、専門知に習熟すればするほど専門知以外の知識が重要になってくるからです。この専門知以外の知識のことを、「教養」といいます。「教養」とは、「幅広い(専門外の)学問や芸術・文化に触れることで涵養される、あらゆる人間活動の基盤となる精神的素養のこと」であり、これこそが「専門性」を十全に生かす上でとても大事なものなのです。

例えば、私の専門は「西洋史(より詳しくはドイツ近現代史)」ですが、歴史を研究するには、その時代の歴史的事象や専門的な用語法に詳しくなるだけでなく、そこに生きた人々の目線に立って、彼ら(彼女ら)が何を感じ考えたのか、またさまざまな対立や問題をどのように乗り越え行動したのか、といったことに思いを馳せる想像力が必要です。私はこの想像力の源泉こそが、「教養」であると考えています。

大学での学びは「専門性」を高めつつ、「教養」を伸ばすこと

こう考えると、「専門性」と「教養」とは決して対立するものではなく、お互いに補い合うものだといえるのでしょう。それは、木が大きく高く成長するにはしっかりと地中に根を張っていなければならないように、「専門性」を高めるにはそれを下支えする広範な「教養」を身に付ける必要があるのです。ぜひ皆さんには大学生活の中で、「専門性を高めること」と「教養を伸ばすこと」の両方を追求していってもらいたいと思います。

新入生へのメッセージをお願いします!

最後に、これまで何だか偉そうに語ってきましたが、私こそ自分が「専門性」においても「教養」においても未熟であることを誰よりも自覚している人間だということを強調しておきたいと思います。そもそも「専門性と教養を身に付ける努力」は、一生続く終わりのない営みです。私は、この終わりなき道のりの、4年間という短い(しかし大事な)期間を皆さんと共に歩むことができることを、心から幸せに感じています。

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