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明大職員に聞く!
2023.12.13

眠れる貴重資料を掘り起こす デジタルアーカイブサイトを設立した植木正真さんに話を聞いた

インタビュー就活図書館
多岐にわたって大学を支えている職員さんにスポットを当てる「明大職員に聞く!」の企画。
今回は年間100万人以上が利用する大学図書館をソフト・ハードの両面から支える図書館総務事務室の植木正真さんにインタビューしました。

プロフィール

植木 正真(うえき・しょうま)
図書館総務事務室で働く職員さん。観劇やゴルフなど多趣味の持ち主で、学生時代はテーマパークで働いていた経験も。

図書館をハード・ソフトの両面で支える

 

――学生・教職員や地域住民が訪れ、利用者は年間100万人にものぼる明治大学の図書館。4キャンパスそれぞれに特徴がありますが、全ての利用者が安心して利用できるための全館に関わる業務を図書館総務事務室が担っています。中でも植木さんは現在、図書館システムや館内デバイスの管理・運用、業務効率化のアプリケーション開発などを任されています。

 

植木 大学図書館が今後どうあるべきかを見据えて、利用者の役に立つサービスを提供することを目的に各館と連携しながら業務を進めることがこの部署の役割です。明治大学の図書館は社会に開かれているので、学生や教職員だけでなく、卒業生や地域住民も利用できます。さまざまな利用目的がある中で、より多くの利用者にとって快適だと思ってもらい、さらには本学の教育研究活動の充実・発展にいかにして貢献できるかが重要なんです。

最近ではDX(Digital Transformation)の必要性が叫ばれていますが、当然これは大学図書館にも求められてきます。私たちも利用者サービスの充実化・業務効率化のためのDXにも日々取り組んでいるところです。

駿河台キャンパスの中央図書館館内の入館システム

――もともとエンジニアでなかった植木さんがプログラム開発まで担当しているのは、なんだか不思議な感じがします。

職場の先輩とプログラミングの画面を見ながら話し合って仕事を進める植木さん

植木 システムエンジニア出身の職員はたくさんいるので、プロから日々勉強させてもらっています。

私は高校時代からIT関係に興味があって、学生時代は商学部のプログラミングのゼミに入っていました。大学職員になって最初に配属された教務事務室では、教室管理や学部間共通の外国語科目の運営、履修・成績に関する業務を担当していました。一見、ITとは無縁に思えますが、履修・成績をはじめ大学運営にはさまざまなシステムが関わっており、実はこの頃からITの知識を生かして、業務作業の効率化にも取り組んできました。

こうした教務関係のシステムに1ユーザーとして関わっていく中で、「もっと深くシステムの業務にも携わりたい!」という思いが芽生えてきました。なので今、異動先でシステムの根幹に関わる仕事を任せていただけているのはうれしいですね。利用者が便利で快適に過ごせることを想像しながら、日々システムの改善に向き合っています。

とはいえ、プログラムの開発は分からないことだらけで、常に勉強が必要です。大変な作業ですが、完成したプログラムが順調に稼働したり、誰かの仕事の改善につながったりする時はとてもやりがいを感じます。大学職員でありながら、モノづくりのようなことができるのは、とても貴重な経験だと思っています。

デジタル化される前の図書館では紙の台帳と棚で管理していた。昔の図書館で使われていた貴重な器具を特別に案内してもらった

眠れる貴重資料に光が当たるデジタルアーカイブサイトを公開

 

 

――2023年秋に「デジタルアーカイブ」のWEBサイトが新たに誕生し、明治大学が持つ学術的価値が高い貴重資料にいつでも、誰でも、どこでもアクセスできるようになりました。現在アクセスできる資料数はなんと約2,500点。図書館・博物館・大学史資料センターが所蔵するえりすぐりの資料が公開されています。植木さんはこのプロジェクトの中心メンバーの一人として、公開に至るまでの2年間、業務を推進してきました。

 

植木 まずはサイトが公開でき一安心です。明治大学は貴重な資料をたくさん所蔵していたものの、閲覧には申請や審査が伴い、これまで人の目に触れる機会が限定的でした。いわば倉庫に眠ったままの資料が多くあったわけですが、もちろんこの状態は大学としての課題だと昔から認識されていました。ただ、資料に人が触ったり光を浴びたりすることで劣化して価値が下がることから、現物利用のハードルを下げることは難しく、打ち手がなかったんです。

そこで、このプロジェクトではデジタルの力を使って、埋もれた価値を少しでも掘り起こそうと計画が進んでいました。従来から抱えていた大学の課題解決に貢献できたのはうれしかったですね。

――プロジェクトを推進した植木さんにとってはかなり思い入れのあるサイトなんですね。

デジタルアーカイブサイトのトップページ。サイト設立にあたって公益財団法人 図書館振興財団の2023年度助成を受けた

植木 プロジェクトが発足してから2年間続きましたが、常にやりがいを感じていました。製品の選定や公開データの準備はもちろん、予算申請や外部助成金の獲得など、これまでなかなか経験できなかったことばかりで大変なことも多かったですが、とても勉強になりました。プロジェクトは同じ課題を抱えていた博物館や大学史資料センターと一緒にチームを組んでいましたが、他にも多くの職員に助けてもらい、人に恵まれた良い環境であることを改めて実感しました。

システムは導入して終わりではないので、今後も公開資料の追加や学内他機関への拡充など、サイトの充実化を図っていきます。

興味のベクトルを全方向に行動してきた大学4年間

 

――現在、ITの力を使いながら明治大学の図書館を支える植木さんですが、大学時代でのあらゆる経験が今の自分につながっていると語ります。

 

植木 学生時代、プログラミングが学べるゼミに入室しましたが、それだけでなく、本当にいろいろな経験ができました。商学部ではダブルコアといって2つのゼミに入室できるので、アカウンティングコース(会計学)のゼミにも入って、租税法を勉強しました。それと、商学部のゼミをまとめる団体、ゼミナール協議会(通称:ゼミ協)にも入っていました。

在学中、商学部ゼミナール協議会でさまざまなイベント企画に携わった植木さん。時には他学部を巻き込み講演会を開催したこともあったという

植木 大学外の活動ですと、福岡県人寮に入っていたので寮の自治活動や地元住民との交流企画をしました。アルバイトはテーマパークに勤めていたり、スポットで交通整理をしたりと……。振り返ればとにかくいろいろなことに挑戦した学生生活でした。こうした経験一つ一つが、自分の思いもよらないところで生かされているなと実感しています。

また、大学に進学した理由の一つでもあった教員免許も取得しました。そういった意味では、教育業界にはもともと興味を持っていました。ただ、就職活動を進める中で改めて自分と向き合って分析した際に、ふとゼミ協でお世話になった職員の方を思い出したんです。それから職員という立場・働き方で学生を支えていきたいと考えるようになり、結果今につながっています。

教育実習の最終日に生徒たちからもらった色紙。数々のメッセージは「教育業界で働く原動力になっている」と植木さん

視野を広げる絶好の機会は大学時代にある

 

 

――最後に学生に向けてメッセージをいただきました。

 

植木 大学では本当にたくさんのことを経験できました。これは貴重な時間だったと今になって感じます。明治大学ではそれをするだけの環境も整っていて、さまざまな人と巡り合うことができます。あらゆることに積極的に取り組んで視野を広げてみると、多角的に物事を捉えられるようになってきます。これはきっと皆さんの意思決定の助けになると思います。

そして、私の就職先が「灯台下暗し」であったように、実は身近なところに思わぬ発見があるかもしれません。時には一呼吸して、自分の周りに目を向けてみるのも大切だと思います。

プロフィール植木正真さん

学校法人明治大学
学術・社会連携部 図書館総務事務室
植木 正真(うえき・しょうま)

福岡県出身。明治大学を卒業後、2017年に学校法人明治大学に入職。教務事務部 教務事務室にて教室管理、共通外国語科目の運営、履修・成績に関する業務、証明書に関する業務、所属学生団体の対応などを経て、2020年に学術・社会連携部 図書館総務事務室に配属。現在は、図書館システムや館内デバイスの管理・運用、業務効率化のアプリケーション開発などを担当している。

※ページの内容や掲載者のプロフィールなどは、記事公開当時のものです

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