2018.07.31

【特集・第1回】株式会社MATCHA 代表取締役社長 青木優さんにインタビュー


訪日外国人観光客向けWebマガジン「MATCHA」を手がける青木優さんは、2013年に明治大学国際日本学部の1期生として卒業後、株式会社MATCHAを起業。「日本の文化を世界に発信する」という国際日本学部の教育を体現しています。今回は、同じ国際日本学部に在籍する3年生の天野綾香さんに、起業のきっかけとなった在学中の経験から、仕事で心掛けていること、今後の目標までをインタビューしてもらいました!

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プロフィール青木優さん(2013年国際日本学部卒業)

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  • 大学在学中に1年間休学し、世界一周の旅に出る。
  • 2012年「ドーハ国際ブックフェア」の運営に従事。
  • 大学卒業後、デジタルエージェンシーaugment5 Inc.に所属。
  • 2013年12月株式会社MATCHAを設立し、代表取締役社長に就任。
  • 2018年には国際日本学部の社会連携科目「インバウンド観光の最前線―メディアを中心として」の講師を務める。
今回のインタビュアー天野綾香さん(国際日本学部3年)

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  • 国際日本学部の留学プログラム「フロリダ州立大学 ウォルト・ディズニー・ワールド提携 アカデミック・インターンシップ」に参加。
  • 社会連携科目「インバウンド観光の最前線―メディアを中心として」を受講。
  • 青木さんには、学生時代の過ごし方を聞いて、今後の大学生活の参考にしたい!また、会社を展開していった方法や、やりがい、苦労についても聞いてみたい。

訪日外国人向けのWebマガジンを運営

天野さん(以下:天野) 青木さんが代表取締役社長を務めているMATCHAとはどのような会社ですか?

青木さん(以下:青木) 日本に来る外国人向けウェブマガジンを運営しています。訪日外国人が増えている中で、日本の観光地の情報や文化など、まだ知られていない日本の魅力を届けていこうとしています。われわれが発信した情報に触れることによって、日本に来る人の体験価値が最大化することを目指しています。株主は、株式会社星野リゾートや株式会社スノーピークで、内閣府や環境省といった省庁とも密に仕事をしている会社です。一言で言うと、「日本に来る外国人のインフラ」になろうとしています。

天野 さまざまな言語で、海外に向けて記事を発信していますよね。

青木 記事への反応が国ごとに違うことは、面白くもあり難しくもあります。嗜好性がそれぞれ異なることをしっかり理解して、自分の当たり前を押し付けないことが大切です。また、日本の情報を海外向けに出しているため、日本人だけでは運営できません。どう海外のパートナーと手を組むかというのが肝になると思います。

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天野 私もMATCHAの記事を読むことがありますが、日本人から見ても、とても行きたいと思えるような内容でした。世界各国のニーズはどうやってくみ取っているのでしょうか?

青木 社内の外国籍のメンバーから、海外で必要とされている情報を得ています。また、ユーザーのコメントを参考にすることも多いです。Facebookを見ると、実際に役立った情報や、ユーザーが知りたいと思っていた情報などが分かります。

天野 社内の方以外にも、外国籍のライターの方がいると伺いました。

青木 ライターは日本各地に70人ほどいて、主に、台湾、タイ、英語圏の人が多いです。記事は自社で作っているものもあれば、ライターが必要だと判断して掲載する記事などもあり、さまざまです。ライターが日本人である必要性はあまりないので、外国籍のライターはこれからも増えていくと思っています。日本のことをよく知っている外国籍のライターがもっと増えたら良いですね。

天野 MATCHAを経営されていて、やりがいを感じるのはどのような時ですか?

青木 ユーザーから、「MATCHAというメディアがあったから良い体験ができた」と言われた時はすごくやりがいを感じます。また、クライアントの課題を解決できたり、狙い通りの分野の売り上げを伸ばせたりしたときはうれしいです。

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天野 逆に、苦労したこともあるのでしょうか。

青木 苦労も常にしていますが(笑)、忘れてしまいます。仕事は自分ですべて行うことはできないので、人に対しての悩みが多いです。自分だけでなく、一緒に仕事をする人たちにとっても意味がある仕事にしないといけませんが、人によって嗜好性は違います。なぜこれをやるのかとか、これをやることによって何が起こるのかとか、ここを注意した方が良いということは人ごとに全く違うので、そこを考えて示すのが難しいと思います。

天野 メディアを作る上では、どのようなことを心掛けていますか?

青木 ユーザーがいることでメディアが成り立っているので、ユーザーが何を求めているのかしっかり考えることを心掛けています。また、自分自身がユーザーであることも心掛けていて、例えば今朝は5時半に起きて、オーストラリア人2人と奥多摩にある御岳山で滝行をしました。そこは外国人を歓迎していて、結構好きなので年4~5回行きますが、毎回外国人が増えていることを感じます。

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天野 自分自身もユーザーであるための時間を作っているのですね。日々お忙しくされていると思いますが、忙しい中で時間を作るコツがあれば教えてください。

青木 時間を作るためには、公私を分けないようにしています。休みを取るという意識をしなくても、疲れると感じたことはありません。銭湯が好きなので、銭湯に人を呼んで仕事の話をしながらゆっくりお風呂に入ります。明日(取材日の翌日)も一緒に仕事をしている雑誌の編集長と約束をしていて、その人とは月1回一緒に銭湯に行っています。湯船につかって、「来月何しましょう」って企画の打ち合わせをするんです。それがプライベートか仕事かというと、両方なんですよ(笑)。そういうことを週3回くらいやっています。その後お風呂に入らないで寝られて良いなと思っています。

天野 仕事とリフレッシュを兼ねていて、家でのシャワーの時間も省けるわけですね。

青木 仕事と人に会う時間をくっきり分けていたら、人に会える時間は限られてしまいます。それに、夜10時に仕事の打ち合わせはしたくないですが、銭湯だったら良いじゃないですか。公私を分けないというのはそういうことです。

MATCHAでの業務は?

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天野 MATCHAには、どのような仕事があるのか教えてください。

青木 大きく分けると「メディア事業部」と「インバウンド戦略部」があります。「メディア事業部」では、ユーザーに対する仕事をしていて、日本に行こうと思っている人や、日本に旅行している人たちにとって役立つ情報を作っています。「インバウンド事業部」では、クライアントの課題解決を行っています。例えば、海外の人に情報発信したい、観光に来てもらいたいなどという際に、メディアの力を使って広告しています。

天野 青木さん自身はどのような仕事をされているのですか?

青木 私自身は両方を見ています。週に1回くらい出張があって、それ以外の時間を、アポと社内会議と、考える時間にあてています。1年前くらいから「一人合宿」にはまっていて、毎月1回一人でホテルにこもり、その日に考えることをすべて書き出して、それを全部つぶしていく作業をしています。

天野 どのようなことを書き出しているのでしょうか?

青木 決断することリストです。例えば、この組織体制をどうするか、次はお金をどこから集めるか、何億集めるためにはどこからもらうかなどという感じです。それが決まると、ではそのために何をすれば良いかが決まるので、この人と会うとか、この企画書を作るとか、これについて情報をインプットするといったタスクリストをスケジュールに入れていきます。

※ページの内容や掲載者のプロフィールなどは、インタビュー当時(2018年5月28日)のものです

>>【第2回】では、明治大学入学の経緯や、青木さんの学生時代などをお聞きしています!